2009年2月3日 学習・研鑽
SUMIKA見学
鈴木アトリエの鈴木さんのお誘いいただいて、東京ガスのSUMIKAプロジェクトの見学会に参加してきました。SUMIKAプロジェクトとは、東京ガスが所有する宇都宮市内の社用地を活用し、自然環境に配慮した人間の完成に基づくプリミティブな間隔を呼び覚ますような、「五感を楽しむせ生活」を実現するために、4人の建築家が提案する新たなコンセプト住宅およびパヴィリオンを建設するものです。
まず伊東豊雄氏によるパヴィリオンにて説明を受けました。「15人」のお客さんを迎え入れ、このプロジェクトの情報を提供するスペースとなっています。ガス機器を使用した食事も頂くことができます。4本の柱から樹木が枝を広げるように幾何学的なパターンの構造体の建物で、屋根・壁はFRP防水にトップコートとなっています。この構造は4本の柱と内部に必要な空間をコンピューターに入力して、六角形の幾何学模様のなかで、もっとも合理的なパターンをはじき出したものだそうです。
次に西沢大良氏による住宅に移動しました。地上4mに半透明の屋根の持つワンルームの住宅です。半透明の屋根からの光は、朝はベッドに、正午はキッチンに落ち、生活のリズムと光がシンクロする住宅とのこと。壁はほとんどが鉄扉でできていて、扉を閉めていると窓がないので、空だけ見えている住宅です。洗面風呂スペースは室内ですが芝生も生えています。本来の生き物の生育場所=屋外であったことから、敢えて自然(太陽・風・緑)を住まいの中に取り込んだということでしょうか。確かに現在の住宅は、外界と出来るだけ遮ることで一年中快適な生活環境を作り出そうとしています。あえてこの自然を住宅内に(多少強引にでも)取り込むことで、改めて人間としての住まいを考えることが出来るのかもしれません。
次に藤本壮介氏による住宅です。2.5mの鉄の箱10個が3層に積みあがって置かれている住宅です。おもちゃのブロックが無造作に散らばっているような住宅です。「家以前の家」という名前の通り、人が木の上(森の中)住んでいたことを回帰させるかのような住宅です。箱と箱の間の空間は屋外であっても、そこは「住まい」の一部であり、機能があります。確かにプリミティブな空間です。しかし2.5m角という大きさは少々小さい。実際この家に住めと言われても住むことはかなり根性がいりそうです。「住む」という概念を変えないと住めないかもしれません。
次に藤森照信氏の住宅に移動します。移動中に大谷石で敷き詰められた道路がありました。さすが産地が近い宇都宮なので道路にも大谷石が使われています。よく見ると古い住宅の基礎も大谷石です。
藤森氏の住宅は「コールハウス」という名前です。外壁が焼き杉で覆われています。焼き杉=木炭=Coalということです。建物の方はラスコーの洞窟をイメージしているそうです。工事の過程では、焼き杉を作ったり、漆喰を塗るの作業を東京ガスの職員の方と一緒に行うなど、藤森先生らしく、そのプロセスこそが「住まい」の一部ということと思います。建物右隅上部にある茶室には外のハシゴでアクセスします。茶室の扉や窓などに細かな仕掛けがあり、細かいディテールにも味があります。3つの建物の中で唯一、実際に「住む」ことができそうな建物です。
駅近くに古い商家が保存され、公開されていましたのでちょっと覗いてみました。「旧篠原家住宅」という醤油の醸造を営む商家だったそうです。見学会と関係ないのですが、今回の見学会の「住みか」というテーマになんとなく合った建物です。江戸時代の建物は火事を恐れて、火を使う台所を外に別棟とし、大事な荷物は外壁に漆喰や石を用いた蔵に保存していました。1尺5寸(約45cm)の大黒柱に2尺はあろうかと思える大きな梁に支えられています。階段は押入の中の急階段か、収納を兼ねた箱階段です。大広間の床の間はなんと2間半あります。その前の畳は床の間に合わせて長さが2間半です。
せっかくの宇都宮なのでギョーザを食べに出かけました。駅前のバスターミナルの片隅に餃子像がありました。数ヶ月前のニュースで移設中に落として真っ二つに割れてしまったと聞いていましたが、きちんと補修されていました。
宇都宮餃子会直営のお店に行き、「幸楽」「みんみん」「さつき」「龍門」「めんめん」「天下一品」「味一番」の餃子を頂きました。一度餃子三昧してみたかったので、とてもおいしかったです。
最後は餃子になりました。
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