2016年6月22日 家づくりコラム

デザイナーズ住宅?の注意点

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本日の日経新聞に良記事があったのでご紹介します。

「デザイナーズ住宅の注意点」という記事。建売住宅の新聞折り込み広告などでよく見かける『デザイナーズ住宅』の文字ですが、正しい意味で使われていないような気がします。

そもそも日本の風土には軒の深い住宅が建てられてきました。長い梅雨時期の雨から外壁と窓を守り、夏の日差しを遮る役目がありました。それが『デザイン』という名のもとに、軒が無い家が増えてきました。つくる側のコストダウンの意味も大きいと思います。軒が無ければ、その分コストを抑えることが出来ます。

軒を無くす際には、外壁の性能を高めたり、窓上に庇を設けたり、雨をきちんと排水するための工夫が必要になるのですが、そのような工夫を一切することなく、ただ「カッコいい」「コストダウンになる」との理由で、軒を無くしている例を多く見かけるようになりました。

夢のマイホームを建てる際に、「カッコいい家が欲しい」という方はもちろん多いのですが、「雨漏りしても良い」とか「将来のメンテナンスが大変になっても構わない」なんて人は居ないはずです。

私は軒の深さを確保出来る場合には、極力、軒をつくるようにしています。それは雨漏りのリスクを減らすだけでなく、住宅の長寿命化、メンテナンス費用の軽減に繋がるからです。近隣条件や北側斜線などの条件などから軒を出すことが出来ない場合には、外壁を屋根材と同じガルバリウム鋼板にする、窓に庇を付けるなどの何かしらの工夫をします。「ただ軒を無くす」と言うのは、単なるコストダウンの手法として使われているものと思います。本当にシンプルなデザインでの収まりは、見えないところで苦労しているものなのです。

建売住宅や量産住宅メーカーの家は、「より多くの人が好む外観や間取り」で出来たものなので、そこに住まう家族にとって本当に望ましい外観や間取りであるとは限りませんよね。家族を思い、その土地の自然を読み取った上で設計され建設された住宅でなければ、本当の住宅とは言えないのではないでしょうか。

記事の最後の「本当にデザイン性の高い住宅とは、建物形状がシンプルにもかかわらずかっこよくて、雨漏りや修繕、省エネ性などについて十分な配慮があり、売買時や賃貸時の市場性が見込まれ、加齢配慮がある」がよくまとまった一文だと思います。



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