2017年4月20日 学習・研鑽

工務店の工務店のための勉強会in栃木

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KKB(工務店の工務店のための勉強会)の新年会に参加してきました。KKBとは、なにかの組織のグループとかではなく、工務店の社長だけが参加できる非公開のフェイスブックのグループの名前です。フェイスブックの掲示板では、メンバーの疑問をメンバー間で情報交換して解決するなど活発な活動がなされています。私も開設初期段階から参加させていただいています。基本的にはフェイスブックのグループの掲示板内で情報の交換をしているのですが、たまに「実際に会って情報交換をしないか」との話になったりして、これまでも不定期で集まって、日々研鑽を深めている仲間です。今回は「新年度会をやろう」の話で、「せっかくならいい建築を見たいね」とのことで、このところの超がつくくらいの有望株の設計事務所+工務店の「COMODO建築工房」さんにお伺いすることになった次第です。ということで、COMODO建築工房の地元の栃木県は宇都宮に集合。東は新潟、西は長崎まで全国各地から実力派工務店主の皆が集まりました。

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COMODO建築工房さんは、先日のエコハウス大賞でも部門賞を受賞され(あすなろ建築工房は奨励賞)、シンポジウムでもご一緒させていただきました。このところ、建築系雑誌で拝見することも増え、設計力が半端なく素晴らしい設計事務所+工務店です。

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この男がCOMODO建築工房を主催する飯田亮氏。これまでもKKBではいろいろとご一緒させてもらっています。設計も出来るし、今回のようなツアーのコーディネートも出来る男です!

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1軒目の住宅は「斜め45°の家」です。 敷地に対して建物が斜めに配置されていて、各所に45度の工夫が施されています。とてもリアルな模型をブログで拝見していたもので、一番見たかった住宅です。

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角を切ったインナーテラスが特徴。

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2階のリビングに上がると、訪れる人は皆、上を見上げます。

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扇子を広げたような屋根垂木が美しすぎる!この美しさを実現するために膨大な図面が残されていました。垂木がある確保で広がるだけでは、このように美しく配置は出来ない。少しずつ寝かして配置するなど、発想が私にはなかった。図面を描く人もすごいけど、つくる人もすごい。つくった大工もさぞご満悦なことと思います。それよりもこの天井を毎日見上げて過ごす住まい手も満足されていることと思います。

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2軒目は、「くの字の家」。飯田さんのお母様の家とのこと。くの字に折れた形のプランです。

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外構の石垣と芝草が美しい。外構も当然COMODOさんが手がけています。比較的広い敷地が多いとのことで、外構にもしっかりと配慮がなされた設計です。

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とにかく内部の空間が美しい。COMODOさんの手がける住宅はどこも天井の考え方がしっかりとなされていて、空間にしっくりと合っています。

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皆でお弁当を頂きました。全国の有名工務店の社長さんが集まっています。見る人が見るとすごいメンバーです。

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時間があるとすぐに建築談義。ほんとに建築が好きな人たちです。

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細かいチェックも抜け目がない。

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よい建築を見るとみなハイテンション。目の肥えた人たちは見るところが鋭すぎて、大変勉強になります。

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3軒目は、「Vermeer Ray」という名の住宅。フェルメール レイとあるように、フェルメールの絵画のように柔らかい光を内部に取り込むことを狙った住宅です。

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低く抑えた軒と繊細な樹木がいい関係を持っています。

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「あ~、こういうことか~」と妙に納得してしまう室内。フェルメールの絵画のように柔らかい光が差し込みます。天井高さが低いなんて感じることはありません。2100mmでも高さは十分ではないかと感じます。

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書斎のコーナーの窓もにくい演出。ついついここに座って長居をしていまいそう。

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ここでもこのメンバーが揃うと建築談義が始まります。ほんとに皆さんよくいろいろとご存知です。

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移動中は、車窓から広大な土地が広がります。うらやましい環境ですね。

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最後に「ひとつ屋根の家」を拝見。4軒も見せていただけるなんて嬉しい限りです。4軒すべての家が既にお引渡し済みでお客様がお住まいになっている住宅です。20名を超える人達を迎えて、平日の昼間に、見せていただけるというお客様もすごいことです。感謝感謝です。

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キッチンの床を40cm掘り込んだ仕様。ここも柔らかな光が差し込んでいました。

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住まい手のお客様に「キッチンの段差気にならないですか」とか「なぜCOMODOを選んだのか」など、容赦ない質問を浴びせる参加者の皆。そこにお客様の答えは「飯田さんが進めてくれるのなら間違いはないはず」「最初はハウスメーカーや他の工務店もいろいろと検討したのですが、COMODOさんの住宅を見たら、他とは次元が違う、別格ともいえるもので、もうこれしかないと思いました」など、すばらしい回答を頂きました。COMODOさんお客様との関係は、設計者(施工者)とお客さんではなく、一つの芸術を共にする芸術家とパトロンのような関係、または一緒に作り上げる仲間のようにも感じました。この信頼関係はなかなかなしえるものではないと思います。

今回4軒拝見することが出来、私自身とても勉強になりました。飯田さんの建築に掛ける思いは、それはそれは深いもので、命を削りながら仕上げていることがとてもよくわかりました。私も負けないようにもっともっと建築に対してストイックに生きなければと思いました。また、飯田さんの設計に惚れ込んだお客様が集まっていることもあり、お住まいの住宅はどれもセンスがよく、特になにか準備する必要もなくそのまま見学が可能なものでした。このお客様との関係性は飯田さんの手がける住宅の魅力の一つと感じました。

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宿泊した宿でも建築談義は続きました。写真はありませんが、お風呂でものぼせるまで話をしていました。

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翌朝は、中禅寺湖散策。

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気持ちのよい朝です。

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目的はこちら。アントニンレーモンド設計の旧イタリア大使館。

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地の材料と工法を大事にしたレーモンドということで、外壁は杉の皮を張っています。

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皆で集合写真。

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天井にも杉皮が施されています。大きな窓から優しい光が差し込む上質空間でした。

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縁側のソファーに座ると時間が経つのを忘れてしまいます。

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いろは坂を降ります。そういえば、20代の頃は、なんどかツーリングに来ていました。あのころが懐かしい。

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最後に「金谷侍屋敷」を拝見しました。

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金谷ホテルの創業者が、自宅に外国人を宿泊させたところ、とても人気が出て、その後旅館業となり、今の金谷ホテルに至ったそうです。

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内部の撮影が不可だったので外部の写真だけ。江戸時代の武家屋敷の建築様式が現れた住宅です。敵の襲撃に備えたカラクリも面白いですが、中と外がとても上手につながっていて、とても勉強になる住宅でした。

私は仕事の関係でこのあと横浜に戻ることに。他の参加者の皆さんはこの後は日光東照宮と大谷石の石切り場見学へ。後ろ髪を引かれながら栃木を後にしました。

飯田さん、そしてスタッフのアカネちゃん、コーディネートありがとうございました。有意義な旅となりました。今後もKKBではよろしくお願いいたします。



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