2017年10月16日 材料・仕上・工法・設備
袋入り断熱材の施工の難しさ
神奈川県木造住宅協会の理事会が開催されました。大工育成のための提携の話があり、(独)雇用・能力開発機構 神奈川職業訓練センター(ポリテクセンター)にお伺いしてきました。
失業中の方向けの職業訓練を行なうほか、在職中の人もスキルアップ訓練を受講できる施設です。JBN全国工務店協会で先日発表された「大工育成ガイドライン」に基づき、神奈川県木造住宅協会でも、ポリテクセンターと共同して、大工育成のための仕組み作りに取りかかります。
就業訓練を行っている人たちが訓練で製作した実物大モックアップ。これがとっても興味深いものでした。もちろん本職ではない方が作ったものなので、仕上がりは素人仕事であることは仕方ないのですが、断熱材充填の様子が分かって、充填の難しさを説明するには分かりやすいものでした。
一般的に使用されている袋入り断熱材を外壁側から見た様子。通常、家を建設するときには、外壁下地が出来上がってから断熱材を充填するので、外からその様子は分かりません。ここでは外装がない状態なので、断熱材の充填の様子がよく分かります。写真では上部や筋交い周辺で奥まで断熱材が充填されていないことが見て取れます。袋入り断熱材は袋に入ってしまっているので、どうしても写真のように周辺がつぶれてしまいます。
下方でも壁や床との取り合い部分での受け木裏が充填されていないことが分かります。本来であれば、袋を丁寧にはがして、断熱材にカッターを入れてまんべんなく充填されるように施工する必要がありますが、袋入り断熱材の場合はこの作業が難しく、写真のような施工がなされてしまうことが往々にしてあると思われます。新住協では袋入り断熱材は性能が発揮できないので使用しないようにアナウンスされています。あすなろ建築工房では、袋入り断熱材は使わず、グラスウールだけを的確に充填し、充填状況を確認してから、別貼りで防湿シートを施工するようにしています。断熱気密施工は、知識と技術が必要であることがとてもよく分かりますね。
他の記事をみる