2018年7月17日 材料・仕上・工法・設備

エアコン一台冷房と除湿について

 

このところ暑い日が続いていますね。

 

 

以前のブログにも書いたのですが、六ッ川の家(モデルハウス兼自宅)は、全館空調を行っており、夏は2階のファミリーデスクコーナーに設置したエアコン一つで家全体を冷房しています。

 

 

パナソニックの2.8kW(8畳用)の最下グレードのエアコンで、27坪の家全体を24時間つけ放しで冷房しています。家に帰ってきたら涼しくて、エアコンの風を感じることなく、就寝時も寝汗をかくこともなく睡眠もしっかり出来て、ほんとに快適です。

 

 

一つ問題がありました。リビングも洗面所もトイレも2階の寝室も子供部屋も26℃~27℃内に収まっていて温度ムラもなく、いい感じなのですが湿度が75%程ある部屋もあり、湿度が少々高めなのです。横浜はもともと夏の湿度が高めの地域でもあります。室内に湿度が湿度を感じることはないのですが、カビの心配もあるので湿度を下げて置きたいと考えました。

 

 

日射遮蔽の出来た高気密高断熱住宅の場合、家全体を均一に冷やすことが出来てしまうので、エアコンが冷房する能力を低く抑えることが出来ます。

 

↑日経トレンディの記事の説明

 

エアコンはヒートポンプで空気を膨張させて冷却し、その際に結露させることで除湿を同時に行っています。しかしその冷房能力が抑えられた運転となった場合、除湿量が少なくなるので、六ッ川の家のように高い湿度になると思われます。

 

 

そこで湿度を下げる実験を行いました。冷房が出来てしまっていて温度差が少ないことが除湿が出来ない原因なので、冬の暖房用に床下に設置しているエアコンを暖房させて、熱負荷をかけて温度差をつくるという作戦です。冷房と暖房を同時に行うってエコじゃないですね。でも実験のためです。

 

 

2階のエアコンは温度を低くして冷房にします。

 

 

床下のエアコンはとりあえず29℃設定で運転します。

 

 

二日間の温度の変化を記したグラフです。外部に設置した外部用モジュールの数値では、本日は32度まで気温は上昇した模様。このモジュールは北側のデッキ下に置いてあるので、実気温よりは低めと思います。床下の気温は24時間かけて徐々に設定温度の29℃に近づいています。室温は1階も2階も26℃~27℃に収まっています。

 

二日間の湿度変化を記したグラフです。床下は暖房開始早々に湿度が下がり始めています。床下の空気はアローファンによって、ロフトに送っているので、ライムラグがあって、徐々にロフト、2階、1階リビングと湿度が落ちていく様子が分かります。結果的にどの部屋も5%前後の湿度を下げることが出来ました。リビングと2階の湿度が7%ほど差があるのは、キャリブレーションの問題かもしれません。

 

↑ダイキンのホームページから

 

実は冷房と暖房を同時に行うことは、エアコンの除湿機能として今までは一般的だった機能なんです。これまでのエアコンは再熱除湿といって、ヒートポンプで空気を膨張させて冷却し、その際に結露させることで除湿を行い、冷えてしまった空気をヒーターで暖めていました。

 

 

電気代を多く使うので最近のエアコンからはこの機能は無くなっており、最近の除湿(ドライ)は「弱冷房」ってことで弱い冷房をかけているだけです。これは、ダイキンのHPでも解説されています。

http://www.daikin.co.jp/naze/html/a_4.html

 

全国の温熱環境に詳しい工務店や設計事務所の中には、温度差をつくるためにわざと日射を入れてみたりしているところもあります。全館冷房と除湿はなかなか奥が深いです。以前に新住協の先輩が「エアコン一つで暖房するのは簡単だよ。エアコン一つで冷房としっかりと除湿をするのは結構難しい」と言っていたことを思い出しました。これからも実験を重ねて、最適な方法を見つけて行きたいと思います。



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