2024年9月18日 学習・研鑽
設計AIの現在地
本日はハウジングトリビューン社さん主催の座談会に参加させていただいてきました。
テーマは「工務店と人工知能について」。
「工務店にとって、人工知能は未来ツールとなり得るのか」について新潟のサトウ工務店の佐藤さんと一緒にお話をさせていただきました。
プレゼンテーションは、ウッドステーションさんとアーキロイドさんから。
今月5月にも、現在の住宅建築業界のAI事情についてお話をお伺いしていたのですが、そこから4ヶ月経たない状況で、5月に課題とお話しさせていただいたことは、すべて解決されていました。
それどころか想像を遥かに上回る進化をされていました。
平面図と立面図のPDFデータをウェブにアップロードすると、数秒で実勢価格による建築見積が完成します。
過去の座談会の際に「課題」として話をさせていただいていた登り梁や二重野地板や吹き抜けの有無などの「設計者の癖」について、今回のバージョンアップでしっかりと対応されていました。
さらに驚くべくはアーキロイドさんの研究成果を活用すると、許容応力構造計算、温熱計算も自動で瞬時に答えが出されれてきます。
「財団法人日本住宅・木材技術センター」が発行しているグレー本と呼ばれる「木造軸組工法住宅の許容応力度設計」に書いてある許容応力度計算の検討項目を全部覚えさせているとのこと。
構造塾の佐藤さんが憂いている現実問題は、このツールを使うと一瞬で解決されてしまうかもしれません。
Q-PEXの入力項目を学習させたら、温熱検討はもう怖いものなしです。
すぐに実践ツールになります。「性能」の部分で優位性を持っている設計事務所や工務店は、あっという間に優位性を失う可能性が高いと感じました。
「数年はかかる」と思っていたことが、4ヶ月もかからずに予想を遥かに超えるぶっちぎりのスピードで進化してました。
もちろん指示をする人間の能力を超えることは難しいかもしれませんが、指示する人間の能力をカバーしてしまうことについては、いとも簡単にクリア出来てしまいます。
怖ささえ感じます。
「性能」ではなく「意匠」で優位性を持っている設計事務所や工務店もうかうかしていることは出来ません。
現在は「性能」の範疇でのAIの学習内容ですが、すでに「意匠」の分野の学習も始まっています。
建築家の全作品の図面や諸元データや竣工写真などのデータつまりは「建築家の癖」をAIに食べさせるとその建築家になりきって設計する日も近い(いやもう来ている)です。
アートと同じでクリエイティブな仕事である「設計」の仕事はAIには置き換わることはできない(なかなか大変)と思っていたのですが、過去の実績をAIに「食べさせる」ことで、今の自分レベルの設計をAIに行わせることは近い将来に確実に可能になることを知りました。
温熱計算や構造計算はもう人手をかけて行う必要は無くなります。
面倒な性能の検討は、もう数ヶ月後にはAIがやってくれちゃいます。
恐ろしいことに、意匠設計となる「使いやすい間取り」や「カッコいい空間設計」も諸条件を入力さえすれば、素人でも設計?出来るようになります。
AIに使われる業界になりたくない(なって欲しくない)ので「業界AIはfacebookのような業界のコミュニケーションツールとして活用されるべき」と提言させて頂いてきました。
私たちに課せられた未来は、相当に重いです。
座談会に盛り上がってしまって、座談会中の写真を撮り忘れました。
写真は座談会後のグダグダの飲み会風景です。(^^;
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