2020年7月18日 材料・仕上・工法・設備
冷風扇のワナ
毎週土曜日の朝のニュース番組のCMで、このところ冷風扇(卓上クーラー)のCMが流れます。
2個で4,980円ととても安いです。
「これを使えば涼しくなる」と思う方も多いかと思うのですが、実際はそんなに甘くはないです。
冷風扇とは、水が蒸発するときの気化熱を利用した冷却装置です。モーターでファンを回し、室内の空気を取り込み、水分を含ませた蒸発フィルターを通して吹き出すことで、気化熱で下がった空気を吹き出します。
吹き出し温度は下がるのですが、湿度が上がるのが問題です。特に梅雨時の湿度が高い時は、逆効果の場合もあります。
以前に別のブログでも書きましたが、空調負荷計算をする際には、熱負荷を「潜熱」と「顕熱」に分けて考える必要があります。
そもそも冷房は、単に室内空気の温度を下げるだけでなく、同時に除湿を行うことで、空気自体が保有している熱を下げることを言います。空気の温度を下げるために使用された熱を「顕熱負荷」といい、除湿のために使用された熱を「潜熱負荷」と言います。冷風扇は、顕熱は下がっているけど、潜熱は増えてしまっています。
つまり吹き出し口前の部分の温度は部分的に下がってはいますが、室内の湿度が上がってしまっていますので、部屋の中の体感温度は思うような下がり方はしていないのです。
吹き出し口前に顔や腕を当てると涼しくは感じるとは思いますが、部屋全体では不快感が増しています。
特に梅雨時は室内の湿度も高く、冷風扇を使用してもほとんど気化せず、涼しくはならず、逆にムシムシと蒸し暑くなってしまいます。
西洋の湿度の低い環境下であれば、かなり効果を感じることも出来るのですが、日本の高温多湿の気候ではその効果はほとんどないと言ってもいいくらいです。
冬に使用する加湿器とほとんど同じ原理なので、無理もありませんね。
この冷風機を使うくらいなら、単なる扇風機の方が断然涼しいものです。
その理由は、近々メルマガに書きたいと思います。
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