2010年8月27日 学習・研鑽
信州森林・製材工場見学会
本日は、長野県森林整備加速化・林業再生協議会が主催する「信州森林・製材工場見学会」に参加して来ました。征矢野建材の川上さんからご案内頂きました。スギやヒノキの山と製材はこれまでも見てきましたが、カラマツは見ていなかったので、スケジュールを何とか確保して参加させて頂きました。
まず、佐久市の製材工場(青木屋)を見学しました。信州カラマツ発祥の地におけるカラマツを主体とした製材工場です。
山から切り出されたばかりのカラマツが次々と運ばれてきます。50年生くらいだそうです。
長野県林務部信州の木振興課県産材進行係の井出さんから県産材についてご説明頂きました。
青木屋の社長さんから製材について説明頂きました。
高温乾燥釜です。
まだ蒸気を吹きかけてのヤニ取りの段階だそうで、特別に釜を一瞬開けてくださいました。
100℃の蒸気で熱いです。まだまだ乾燥してない状態です。
乾燥されたカラマツの羽柄材ですが、そのままでは暴れる(材が曲がる)ので重しが欠けてあります。
乾燥釜は皮をむいた皮や木屑を燃料にしています。
乾燥釜からでた梁材です。
モルダー加工された平角材です。
高温乾燥ですが、内部割れなどはありません。高温乾燥といっても100℃は24時間だけで、その後は中温にセットされて1週間かけて乾燥するそうです。割れも少なく、含水率も安定しており、いい感じです。
製材ラインです。これから丸太を帯ノコで梁材に加工します。
順番を待つ丸太です。
80年生のカラマツです。
まず片方が切断されました。
両側が切断されて梁の巾になりました。
製材されたばかりなので、含水率も高く、触るとしっとりしています。
木目も詰んでいていい材です。
栗の木だそうです。
硬くて良い木ですが、ひねくれていて長い材料が取りにくい材料です。
フローリングや壁の羽目板を加工する機械です。
カラマツのフローリングです。死節や抜節があります。
死節や抜節はこのようにパテ埋めされます。
アカマツは節が大きくヤニも多いので節は避けて材をとるそうです。
節を避けたアカマツ材料は乱尺のフローリングになります。節を避けているので、無節できれいな床材になります。
お昼は懐古園のお蕎麦屋さんです。
盛りがよいのが有名だそうです。中盛りですが、4人前くらいはありそうです。
完食しました。お腹一杯です。
午後からは、上田市の木製サッシ工場の「ウッドテック秋富」さんに伺いました。
ドイツのヴァイニッヒ社製の加工機を用いて木製サッシュを製造されています。
かなり大きな木製サッシです。商業施設や幼稚園などに使われることが多いそうです。
材料はタモの集成材です。他にもカラマツ、ヒノキ、イエローパイン、ナラ、レッドオーク、青森ヒバがラインナップされています。
引き違いのへーべシーベ窓です。ヘーベシーベ窓とは、レバー操作で障子部分を持ち上げ(ヘーベ)て、横にスライド(シーベ)する窓です。気密性が高く、断熱性もあります。この窓で設計価格で40万円だそうです。
加工場です。
これがドイツ製の加工機です。
このように障子枠の仕口が加工されます。
障子枠を組み立てています。まず仕口部分に木工用ボンドを塗ります。
ヘラでボンドを伸ばします。
組み立てます。
プレス機で仕口部を固めます。
仕口部をビスで固定します。
対角線の寸法を測って、矩を確認します。
仕口の様子です。
組み立てられた障子枠に溝をついた状態です。
溝にドイツ製の金物が取り付けられます。
傍らでは、家具も造られています。弊社の家具工房と作り方はまったく同じです。
引き続き、日本最古のカラマツの人工林を視察しました。
林道を10分ほど歩きます。熊が出るそうで、爆竹やロケット花火を点火しながら進みます。
到着しました。江戸時代末期に植えられた最古のカラマツ人工林です。150年以上経っています。
150年生といってもビックリするほど大径木ではありません。密集しているので、育ちが遅いのです。
カラマツの寿命は100年程度ということで、おそらく中はスカスカになってしまっているそうです。
カラマツはねじれながら育つそうですが、30年も育つとねじれもなくなるそうです。
迫力ありますね。
倒木の年輪をみると、育ち方が分かります。
芯の方は年輪が広いですが、辺に近づくにつれて年輪が密になっています。辺材付近では年輪が数えられないくらい目が詰まっています。
ヤニが多く、乾燥するとねじれが生じるので使いにくいとされたカラマツですが、乾燥技術や加工技術の進歩によってまったく問題なく建材として使用されていることを改めて知ることが出来ました。ご関係者の皆様ありがとうございました。
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