2011年5月2日 あすなろ建築工房の日常
東日本縦断
仮設住宅の調査についてご報告させて頂きましたが、被災地の様子を聞かれることも多く、載せてよいか悩むところもありますが、一部ご報告いたします。
28日の朝5時に家を出発し、戸塚、東京、蓮田SAでそれぞれ、山田建設山田さん、吉田工務店吉田さん、盟章建設高橋さんを拾って、気仙沼に向いました。途中たくさんのパトカー、自衛隊車両を目にしました。東北自動車道はまだまだ被害が残っていて、所々波打っています。
気仙沼の仮設住宅建設現場すぐ近くの海岸です。皮肉なほどに、桜が満開でした。
こちらも仮設住宅現場のすぐ近くです。スーパーか何か商店だったようです。
見渡す限り、瓦礫だけになってしまっています。
基礎と土台だけが残されていました。土台も流されてしまっているところが多かったです。
気仙沼市街です。気仙沼は津波の後に火災が起きたところなので、焼け焦げた瓦礫が残されています。
このような景色が続きます。瓦礫を片付けるダンプだけが走っています。
この船は港から600mくらい入ったところのJR大船渡線の駅前交差点まで打上げられていました。このあと解体されるそうです。写真で見る以上に大きいです。
残っている建物はほんの一部でした。
電柱の破損の仕方から見て、大きなエネルギーが加えられてことが分かります。
高台から見下ろした気仙沼市街です。
気仙沼付近です。「どんな町が存在し居ていたのか想像もつかない」と話をしていました。グーグルで走った道を確認していたところ、ストリートビューで位置が分かりました。写真の信用金庫の看板と右側の山の木から上の写真と下の写真は同じ位置であることが分かります。
同じく気仙沼付近大船渡湾脇です。鳥居で同じ場所であることが分かりました。
柵ではなく、線路です。
このような景色が続きます。ほんとに言葉がありません。
仙台の七ヶ浜地区です。この近くで仮設住宅建設のお手伝いをします。
仙台に宿泊し、翌日は仙台市近郊に伺いました。地盤の被害が大きかった団地です。
検知石が崩れており、土地全体がずれてしまっています。
一見無事に見えますが、建物に大きな被害が生じています。
マンホールとアスファルトがずれてしまっています。
奥の擁壁が崩れてしまって、建物全体が傾いてしまっています。
道路はいたるところで通行止めです。インフラは電気以外はまだ通じていません。水道は仮設水道が設置されていました。
仙台の若林地区です。田園が広がっていた地域です。
住宅の基礎だけが残されていました。
基礎の下の土がえぐられて流されており、基礎が浮いてしまっています。
足場板がRに曲げられてしまっています。
港湾整備の重機が横倒しになっていいました。
被害の範囲が広く、まだまだ手がつけられていない状態です。
仙台空港近くです。セスナが流されています。
続いて、いわき市の知人工務店さんのところに、災害見舞いに伺いました。常磐道の交通量は極めて少なく、ほとんど車が走っていません。
小名浜漁港です。
小名浜マリーナです。
小名浜付近のモーテルです。一見、平屋建てに見えますが、、、
実際は、1階部分が潰れてしまっており、ピロティ形状の2階建てです。
構造的に問題ありです。1階部分が3方向に鋼製ブレースがあるだけで、上部構造が受ける加速度を支えきれないことは一目瞭然です。
しかも大事なブレースを固定している土台がシロアリ害でボロボロになっていました。こんな状態では、構造ブレースもなんの役にもたちません。シロアリの怖さが分かります。
以上、一部ですがご報告です。29日の夜8時には自宅に戻ってきました。2日間でガソリン満タン4回給油して、全部で1,380kmの移動距離でした。
今回、実際に自分の目で感じたこととしては、「津波」と「地盤」です。津波の被害は皆さんご存知の通りですが、地震の揺れによる被害は最大震度7であったにも関わらず、思いのほか小さかったと思われます。津波の被害は今回岩手から千葉県まで広がる広範囲でしたが、被害のあった地域としては、大船渡や気仙沼のように地形的な条件で被害が拡大したところを除くと、湾岸部の一部地域であることが分かりました。道路を隔てて右と左で被害が大きく違うところが多々ありました。被災地から車で3分走るといつもの住宅地となっているというところが多かったです。道路高さのおそらく数十cmの差であったと思われます。また地盤については、地盤の質に寄って揺れ方が大きく違っており、造成地や埋立地などにおいては、これまでの一般的な地盤の調査や判定法が通用しないことがよくわかりました。
仮設住宅建設については、政府がお盆までにすべての応急仮設住宅を完成させると発表していましたが、ほんとに出来るのか疑問です。土地が無いことは以前から話が出ていますが、もし土地があったとしても、電気と水道の整備が間に合うのでしょうか。また首相が「作業従事者を増やして」と言っていましたが、そんなに多くの職人を全国から集めても、その職人の宿泊場所や重機などの問題が残ると思われます。現在、大工を派遣するにあたり、現在持っていくものなどを調整していますが、大工がそれぞれ必要な道具をすべて持っていくとなると、一人分で車が一台必要になります。道具は高価なものなので、仮設現場に置き放しにしておくこともできないので毎晩宿に持ち帰る必要があります。現場で実際に仮設住宅を建てている工務店の友人の話では「職人はなんとか集まられそうだが、その職人をまとめる監督が不足している」とのことでした。現場の監督は不眠不休状態なんだそうです。現場監督って、それぞれ仕事を持っているので、急に集めることは難しいと思います。
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