2012年3月21日 不具合・問題・調整
雨漏りの原因
雨漏りの改修工事に御伺いしました。掃き出し窓の上から雨が降ると雨が滴るというお話。外部の上部を見ると小庇が付いていました。雨漏りの原因はこの小庇と壁との取り合いにありました。
上記説明図にある「捨て谷下端部役物」の板金が付いていないのです。設計デザイン的にはこの役物板金は格好のよいものではありません。すっきりと見せるデザインのために省かれてしまったと思われます。昔から使われている材料や工法にはそれなりの理由があります。この役物板金を省略してしまうと小庇と壁との取り合い部で雨水が流れるのですが、この水が外部に排出されずにモルタル壁内を通って下に流れます。モルタル壁の内部には「アラシ」と呼ばれる下地の板が設置されており、このアラシが長年の雨で腐ってしまいます。
街を歩いてスッキリしたデザインの住宅をよく見てみると、このような大事な機能を損なっている例がときどき見受けられます。機能を損なわない建築デザインディテールをしっかりと行っていかないといけないです。デザイン優先で施工されてしまった家は、家がかわいそうです。
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