2013年2月28日 あすなろ建築工房の日常

準防火地域でご計画の際はご注意!(防火窓の扱い)

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YKKapの営業の方に弊社にお越し頂き、この春から個別認定品防火窓の詳細をお伺いしました。

準防火地域内で建てる木造住宅は、延焼の恐れのある部分(1階は隣地および道路中心より3m以内、2階は5m以内)は、防火性能のある窓(住宅用防火設備)が必要になります。しかし、2年前に新聞を賑わせたように、この防火性能を満たしていない窓があることが発覚しました。しかも1社の製品だけでなく、サッシメーカーすべての窓が性能を満たしていないことが分かったのです。

本来であれば、お隣が火事が起きたとしても20分間はサッシとして性能を満たさなければならなかったのに、実際に実験をしてみたら10分でガラスが脱落していまったのです。

この春までは、従来の製品(性能不足のもの)を暫定的に「性能があるもの」として使用することが可能でしたが、この春からはその性能を満たした個別認定の製品が各社から発売されるので、従来品の販売が終了されます。

6月の発注までは、既存の製品(しつこいようですが、あくまで性能不足のもの)が使えるそうですが、それ以降は個別認定品になるので、価格が大幅にアップ(噂では3倍)します。通常の住宅だとサッシの費用は100万円前後位だとすると、150万円~200万円のコストアップにつながる話です。

製品が出るようになれば、効率化と競走原理で価格も下がってくるとは思いますが、製品が出回り始める6月以降に新築する場合は、それなりのコストアップを覚悟しなければなりません。準防火地域で計画する場合は、事前にお客様にご説明しておかなければなりません。実際に現在計画中の物件は、このために計画を前倒しして進めてもらっています。

6月までの製品は、あくまで暫定的な扱いの製品であって、防火性能を満たしていない性能のものであることを忘れてはいけません。とは言っても、一軒あたり150万円~200万円もコストアップになるのだから、悩んでしまいます。今までは、普通のサッシに網入りガラスと防火ガスケットを入れただけで「防火設備」と言っていたんだから、コストアップすることも無理もない話ではあります。

6月以降に発売される個別認定品についての注意事項を備忘録として自分なりにまとめてみました。

・6月中発注までは、旧防火窓も発注可能。7月からは個別認定品に切り替わる。(当初は3月末までとの噂もあった)

・4月以降は個別認定品の見積も可能になる。

・アルミタイプの縦すべり窓、すべり出し窓はオペレーターハンドル仕様のみで、カムラッチ仕様の製品がない。(アルミ樹脂複合タイプはカムラッチ仕様もある)

・ガラスはすべてLow-E網入りガラス仕様となる。(透明ペア網入りガラスの仕様はない)(Low-Eガラスの色は、ブルー、ブロンズ、ニュートラルの3色から選択)

・引き違いの掃き出し窓の価格が異様に高い。(シャッター付き窓にしたほうが安くなる)

・連段、連窓など窓の組み合わせは出来ない。

・玄関扉は、バリエーションが極端に少なく、ハンドルがダサイ。(アパートドアはまだ発売予定段階なので詳細は不明)

・玄関扉は定価で60万円以上となり、かなり高価なものとなる。

以上のように、今までと同じようには防火窓を使うことが出来なくなります。玄関扉や掃き出し窓を延焼線にかからないように計画するなど、設計の内容に大きく係わってきます。

今後も最新の情報を得て、的確な提案が出来るように努めて参ります。



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