2016年4月18日 家づくりコラム
活断層と土地の歴史
九州では、引き続き余震が続いており、現地にいる方は眠れない日々を過ごされていることかと思います。地震により被災にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方やそのご家族にはお悔やみを申し上げます。業界関係者の一人として、一日も早く復旧を果たされることをお祈りすると同時に、被災された皆様が平穏な日々を取り戻せるよう業界を通じて協力していきたいと思います。
阿蘇地方の被害の甚大さをTVなどでみることが増え、「横浜は大丈夫なのだろうか」と心配されている方も多いようです。阿蘇地方の被害の一因は、活断層ラインに乗っていたことと言えると思います。活断層に沿ったエリアで深刻な被害が生じています。一つ言えることは「横浜周辺に知られている活断層はない」ということです。あくまで「知られている」という前置きがあることをご承知置き下さい。上記の地図は、産総研の活断層マップです。あすなろ建築工房の施工エリア内では、三浦半島の葉山以南に活断層が見受けられますが、そのほかでは活断層は発見されていないことが確認できます。
しかし、活断層ラインでなくても直下型地震は起こります。地盤によって揺れ方は大きく変わります。緩い地盤では建物は大きく揺さぶられることになり、固い地盤では建物の揺れは小さくなります。埋立地や昔、田んぼだった土地などは、地盤自体が緩いので、直下型地震の場合は、軽量の木造住宅の倒壊の危険はおのずと高くなってきます。緩い地盤なのか高い地盤なのかは、土地の歴史を見ると大体の判断が出来ます。上記は国土地理院が発行している土地条件図です。
拡大すると土地の造成などの歴史を見ることが出来ます。埋立地や川のそばの土地は揺れやすい土地となります。また丘陵部でも切り土の土地なのか、盛り土の土地なのかによっても大きく揺れ方は変わります。
同じ住宅団地内でも切土の造成部分と盛土の造成部分と分かれていることが分かります。お隣同士でも地盤はまったく違うことになります。もちろん実際の土地において地盤測量などによってしっかりと判断する必要がありますが、この土地の歴史を見ることで予測をつけることが出来ます。
盛土の土地の場合は、屋根を軽いものにしたり、壁の耐力を強くして耐震等級を高めるなど設計の工夫が必要となります。切土による地山に載っている土地であれば、耐震等級2もあれば十分と考えています。あすなろ建築工房では、地盤の状況に応じた耐震等級設定と設計プランニングを行っています。
以上のように、無意味に不安にならずに、正しい知識と情報を得て、的確な対応をすることが大事なのではないかと思います。
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