木の家でマンションリノベ


最後にマンションのリフォームについても少し触れておきたいと思います。
最近マンションを木の家にするリフォームが流行ってきました。駅近などのマンションの利便性を享受しつつ、構造的に外せる壁を取り除くことでまわれる動線や通風を確保し、無垢の木と自然素材で仕上げることで、心地よさにつつまれた空間を手に入れることができるため、人気になっています。
すでにお住まいのマンションをリノベーションするパターンと、中古物件を購入しリノベーションするパターンがありますが、どちらの場合もマンションの規定や隣や階下への配慮といったところでクレームにもつながりやすいため、こちらも業者選びは慎重に行わないといけません。

1.マンションにありがちな不満

今マンションにお住まいの方にはこんな悩みはないでしょうか。

  • 閉塞感があり何となく暗い感じがする
  • 家事導線が使いづらい
  • 当初はよかった間取りも、なんだか昔っぽい
  • 家族構成が変わって部屋が余っている 等々・・・

マンションに限らずのことも多々ありますが、長く住んでいると感じる “生活の不便さ” がありますよね。
そんな悩みもマンションリノベーションでは、間取りを大きく変更しやすく、今の暮らしから、ガラッとイメージを変えることができます。
というのも、マンションは戸建て住宅に比べて、取れない壁、抜けない柱などが少ないので、ほとんどゼロの状態、いわゆるスケルトンの状態からプランを考えられます。

  • キッチンは対面にして、LDKを開放的にしたい!
  • 家事の動線を良くしたい!

というイメージの実現性が高くなっています。マンションリノベーションの良いところのひとつですね。
家族構成の変化や、環境の変化等、この ”生活の不便さ” がリフォームのきっかけになることもたくさんあります。
大きく生活が変わる時はリノベーションを考えるタイミングかもしれません。

2.マンションリノベで変えられるところ、変えられないところ

理想の間取りをつくりやすいマンションリノベですが、逆に変えられないところや、変えられない決まりがあります。

玄関ドア・バルコニーは変更できない?

建物の区分所有等に関する法律によって、マンションは「専有部分」と「共用部分」とに分かれています。
専有部分は、それぞれ個人の所有権が確立している部分であり、住戸の内側(リビングやその他の部屋・水廻り・玄関など)の内装材・ドアなどの建具や、キッチン・ユニットバスなどの設備機器はこの専有部分にあたります。
一方、共用部分とは共有マンションの所有者全員が所有権を持つ部分のこと。外壁や屋根、バルコニーなどの構造体とロビー・廊下などの住人全員で使用する部分をいいます。玄関のドアやサッシ、室内を通る排水用の縦管(上下の住戸を繋いでいるもの、パイプスペース)は共有部分になります。マンションリノベでは、この「専有」部分しかいじることができません。
このため、普段使っている自分の部屋の玄関ドアを取り替えたり、バルコニーに手を加えることはできないのです。

3.規約に必ず目を通すこと

法律で定められたこと以外にも気をつけないといけないことがあります。それは管理規約です。
マンションの専有部分のリフォームに関する取り決めは、管理組合の管理規約によって定められています。特に床材の遮音性能や構造について言及されている部分は要注意です。
遮音性能については、一般的には推定L等級でのLL-45以上の性能を求められるマンションが多いです。まれにLL-40というもう一段上の性能を求められる場合がありますので気を付けましょう。
まれに騒音対策としてカーペット以外の床材を禁止している物件もあります。現状がカーペット敷きの物件の場合は要注意、規約を確認する必要があります。

4.中古マンションの選び方

中古のマンションを購入して、リノベーションしようとお考えの方も増えてきました。
ここでは、中古マンションを買う際に最低知っておいて欲しいことをお伝えします。

工法としては大きく、

  • 鉄筋コンクリート造(RC造)
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
  • 鉄骨造(S造)

に分かれます。

このうちS造は古い物件が多くアスベストを使っていることが多いので避けなくてはいけません。
RC造とSRC造の違いは、柱や梁に鉄骨が入っているかどうかの違いで、SRC造だと間取りに変更が難しくなります。高層マンションは構造上SRC造の場合が多いようです。

RC造はさらに、ラーメン工法と壁式工法に分かれます。ラーメン工法は住戸内に壁が必要ないので比較的自由に間取りを変更できます。ただしスケルトンにしても隅の柱や梁が残るのでそこをどう処理するかという問題があります。

一方、壁式工法は柱や梁がため、すっきりとした壁面や天井面をつくりやすくなります。が、構造上抜けない壁があるので間取りはかなり制約を受けることになります。
通常のマンションはRC造の場合がほとんどですので、さほど気にしなくてもよいと思いますが古いマンションを検討されている方はどんな工法で建てられているか確認しておいたほうがよいでしょう。

5.上手なマンションの「リノベ」方法

一番大事なことは「きちんと断熱を行うこと」です。
気密性が高く、上下左右を囲まれているマンションの部屋は戸建て住宅に比べると暖かいと言われてはいますが、蓄熱性が高いコンクリートの特性を考えると、断熱を施したほうが間違いなく快適に暮らせる住まいになります。窓サッシや玄関扉自体の交換は、共用部となるのでできませんが、内窓を付けることは費用対効果が良いリノベ方法です。北側や南側の(角部屋では西側、東側も)外気に面する部分のコンクリート壁の内側に断熱材を設置することはこれからの生活の質が大きく変わって来ます。

次に大事なことは、「換気・通風を考えた間取りにすること」です。マンション生活の大きな不満要素となっていることに「北側の部屋がカビっぽい」「キッチンが蒸し暑い」「洗面所がこもった臭いがする」などがあります。これは室内の換気・通風ができていないことが原因です。
上手なリノベには、この換気を考えた間取り変更が有効です。北側の部屋からキッチンや洗面所を経由して、南側の部屋へと風が抜ける間取りとすることがとても大事です。設計の知識と経験が必要な部分となります。

もうひとつ大事なことがあります。それは「自然素材で仕上げること」です。マンションは無機質なコンクリートに囲まれた環境となります。床を無垢のフローリング、壁を漆喰や珪藻土などの自然素材で仕上げることで、人として健康に過ごす環境とすることができます。

有名な実験で、マウスをコンクリートと鉄と木のケージに入れてその生存率を計測したものがありますが、第二世代の仔マウスの23日齢の生存率を見てみると、

  • 木製ケージ 85.1%
  • コンクリート製ケージ 41.0%
  • 金属製ケージ 6.9%

と大きな差がうまれました。

これは熱の伝導率の差ともいわれ、動物の体と材質との接触面での熱損失の差が、動物の熱代謝に大きな影響を及ぼした結果と言われています。
RC造のマンションでも、無垢の木と自然素材で仕上げれば、木の家の心地よさを実現できます。
マンションリノベで無垢の自然素材を扱うには経験と知識が必要となります。自然素材を用いたマンションリノベを検討する際は、ぜひ木の家づくりが得意な工務店にご依頼ください。

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