二世帯住宅

仲良く暮らせる二世帯住宅

「そろそろ親と・・・」、「子や孫と暮らしたい・・・」
そうお考えの方に是非知っていただきたいことがあります。

『二世帯住宅』は、そこに住む方たちのライフスタイルに合ったさまざまなカタチがあります。
親と暮らす、子や孫と暮らす。そこにはたくさんのメリット、そしてデメリットもあります。
『二世帯住宅』という選択をより良いものとするためには、ともに暮らすためのルール作りも必要です。
ここでは、二世帯住宅について気をつけて欲しいことをまとめてみました。
ぜひ、これから一緒に暮らす方全員で、お読みください。
きっと、理想の二世帯住宅の姿が見えるはずです。

「なぜ2世帯住宅にするのか」の理由を聞いてみると、その理由は様々あります。

  • 親が高齢となり、高齢者だけで住まわせておくのは不安
  • 土地代が高いので、実家の建替えをすることで土地購入費用を抑えたい
  • コロナ禍で子供が家にいる時間が増えたので、親の手を借りたい
  • コロナ禍で在宅勤務が多くなり、都心から遠い親の家でもよくなった
  • そろそろ引退の時期を迎えるので、子供世帯と一緒に住める家にしておきたい
  • 相続のことを考えると、二世帯住宅としておいた方がお得だから

などなど、その理由は様々です。

1.二世帯住宅にはメリットがいっぱいだが・・・

一般的に二世帯住宅にするメリットはこのように言われています。

  • 土地購入費用がかからないので建物に費用を掛けることができる
  • 建築費用を親に(子に)負担してもらえ、出費を抑えることができる
  • ともに暮らすことで生活費を抑えることができる
  • 共働きで家に不在となるので、小さな子供の世話を親に見てもらえる
  • 誰かが家に居るので、防犯上安心
  • 高齢となった親の世話が近くでできる
  • 自分が高齢のなった時のために備えることができる
  • 孫の成長を間近に見ることができる
  • 相続税対策ができる

これだけ見ると、「二世帯住宅にしなきゃ損!」と思える方も多いと思います。
しかし、一方でデメリットもあり、デメリットについて思慮をめぐらすことをしないまま二世帯住宅を建ててしまうと、将来一緒に住めなくなってしまう可能性が高くなります。
ここでは二世帯住宅についてキチンと理解していただき、仲良く暮らせる二世帯住宅のつくりかたを学んでいただこうと思います。

2.二世帯は大きく4つに分類でき、それぞれメリット・デメリットがある

二世帯住宅とひとことで言っても、さまざまなタイプがあります。一部共有タイプ・完全分離タイプ・完全同居タイプ・別棟タイプの大きく4つにわけることができます。

一部共有タイプ

メリット

  • お互いの距離感を保てるなら、二世帯の中で一番メリットが多い。
  • ルールの下で、子育て、家事、全てのことを協力し合い、自分の時間を大切にできる。
  • 経済面でもゆとりができるため、教育、介護、娯楽など、多くの面で安心。

デメリット

  • ルールを破り、不満をかかえるようになると修復が難しい。
  • 将来、片方を賃貸する場合に改修が必要。

完全分離タイプ

メリット

  • 土地代がかからない。
  • 建物が一つのため、税金、維持費を削減することができる。
  • 介護など、老後の不安を取り除くことができる。
  • 将来的に賃貸物件として活用することができるため、相続税対策になる。

デメリット

  • 子育てや家事を頼みやすいが、頼み過ぎに注意が必要。
  • 税金が高くなる。

完全同居タイプ

メリット

  • ルールの下で、子育て、家事、全てのことを協力し合い、自分の時間を大切にできる。
  • 経済面でもゆとりができるため、教育、介護、娯楽など、多くの面で安心。
  • 一部共有タイプ同様のメリットがあり、全てにおいて1ランク上のゆとりや協力ができる。

デメリット

  • 全てにおいて、守るべきルールが多くなってしまう。
  • 完全同居タイプは、特に片親と同居する場合が多いが、余計な気を使ってしまうケースが見られる。

別棟タイプ

メリット

  • 同一敷地の場合は、土地代がかからない。
  • 共働き夫婦にとって、子育てや家事を親に頼みやすい。
  • ほどよい距離感でお互いの生活を守る。
  • 将来的に賃貸物件としての活用や売却も可能。

デメリット

  • 二棟分の大きな敷地が必要(土地代が掛かる)
  • 維持費が2棟分かかる。
  • 子育てや家事を頼みやすいが、頼み過ぎに注意が必要。
  • 相続税の減税幅が少ない。

4つを比較するとこのようになります。

ランニングコストは維持費や光熱費、将来性は将来売却を想定した場合の比較になります。

このように二世帯といっても様々なタイプがあり、それぞれメリットデメリットがあります。
あすなろ建築工房では、どのタイプがあなたに合うかヒアリングのなかからご提案させていただきます。

3.二世帯住宅が失敗するには理由(わけ)がある

よく二世帯住宅を建てて失敗したという話を耳にしますが、失敗するにはどこかに必ず原因があります。

主な要因としては、

  • サザエさん一家のような完全同居タイプは少なくなっている。
  • 同居というスタイルで失敗するケースは「ルール」をきちんと決めていない場合が多い。
  • 住みはじめはよかったが、年月を経るごとに一緒に暮らすことが嫌になってくる。
  • 親世帯と子世帯が終日同じ空間で過ごし、お互いの時間がなくなる。
  • 世帯ごとの空間がないと、時間が経つにつれお互いを疎ましく思うようになってしまう。

もともと互いのメリットを求めて二世帯住宅を選択したのに、実際に住んでみるとそれ以上に苦痛に感じることが多くなってしまうのはどうしてか。
それは、ちょうどいい「距離感」を保つ設計がなされていないからです。
元々「癖」やライフスタイルが異なるので、価値観が合わないことは当然のこと。お互い、充分話し合いながら進めることが大切です。とはいえ、当事者同士では言えないこともあるでしょう。話せばケンカになるケースだってあるかもしれません。
しかし、それを避けて計画し、住み始めてしまっては先に述べた事態になりかねません。
わたしたちあすなろ建築工房は、必ず間に入り、充分にお話をお伺いします。
それが二世帯住宅を成功させる第一歩だと考えます。

4.どちらの親と住むかで変わる設計ポイント

二世帯での生活を考える際、「夫の両親」「妻の両親」のどちらと住むかにより、気をつけないといけないポイントが変わってきます。

夫の親と住む場合

これはズバリ、嫁と姑の関係で決まります。育った環境が異なるため、細かい意識や価値観の食い違いが生じます。

必ず各家庭には「癖」があり、その癖を常識だと思っているため、トラブルが起こるのです。些細なことが積み重なり、修復不能な関係になることもしばしば。悪気はなくても姑の親切心が嫁の負担になることもあります。

この場合は、なるべく共有部を少なくすることがトラブル回避のポイントとなります。

設計ポイント

  • 世帯ごとに水廻りを設け、それぞれの生活リズムや癖を守り、家事が行えるようにします。
  • 子供の世話をしてもらう(孫の世話をする)際に、子世帯の生活空間を通らないように、子育ての協力スペースをきちんとゾーニングします。
  • 将来の介護も、外部のサービスを利用しやすいようにしておくとお互いに安心です。

妻の親と住む場合

旦那さんが奥様の両親と住む場合は、奥様が旦那さんの家族と住む場合ほどはトラブルが起こる可能性は低いといえます。

夫は在宅時間が短く、家事をする頻度も少ないので衝突する場面があまりないからです。
そのため、共用部はそれほど気にする必要がないといえますが、主婦が二人いるとどちらが主導権を握るか、という問題が少なからず起こります。親子ということでストレートに感情がぶつかることもあるので、家事スペースを共有にする場合は注意が必要です。
また、いくら仲が良くても、四六時中同じ空間にいるのは辛いものです。また、ケンカした時の逃げ場がないと困ります。

その解消方法として、狭くてもいいので旦那さんの居場所(男の隠れ家)を用意してあげることがあげられます。

設計ポイント

  • 水廻りも全部は共有せず、専用のランドリースペースや夫のためのシャワールームなどを考えると良いでしょう。
  • 自分たち(子世帯も親世帯も)の時間も大切にしましょう。専用のリビングやミニキッチンなどがあると良いでしょう。

いずれの場合も、親の将来をしっかり考えてあげることが重要になります。

5.ライフプランから考える二世帯住宅

では、二世帯住宅を建てる意味をライフプランから考えてみましょう。

パターン1.夫婦:40歳、子:7歳(小学1年生)、5歳の4人家族。単世帯住宅を建てる。

単世帯のタイムスパン

子供たちは、大学進学や就職、結婚などのタイミングで、家を出て生活を始める可能性があります。
そのため、自分たち(夫妻)と子供たちとではライフスタイルや習慣が異なる傾向にあります。
そのことを考慮すると、将来の住宅の在り方として考えられるのは、
  • 土地を子供に相続し、「子世帯の住宅を建てる」建替えを計画。
  • 自分たち(夫妻)は賃貸住宅を含む別世帯を用意する、老人ホームなどに入居するなど、家を出る。
  • 「二世帯住宅にする」ための建替えを計画。

もちろん、建替えまでは行かずとも、大規模リフォームで住み続けることも可能ですが、折角こだわり、長く住める住宅を建てたにも関わらず、価値ある住宅を壊し、新たに作り直さなければならない可能性があります。

パターン2.夫婦:40歳、子:7歳(小学1年生)、5歳の4人家族。両親は65歳。父親の定年退職を機に二世帯住宅を建てる。

二世帯住宅のタイムスパン

一方、長く使えるのが二世帯住宅です。
折角こだわって作った住まいを取り壊すのではなく、リフォームでその時代に沿った性能を取り入れながら、住み継ぐことができます。
二世帯住宅を新築する際に、将来的には親世帯のスペースだったところを自分たちが使う、自分たちのスペースだったところを子世帯が使うことなどを見据え、設計しておくことが大切です。
但し、時代により今とは暮らし方が変わる可能性が高いので、いずれはリフォームする日がくると心得ておきましょう。

親のメリット

自分たちの財産を大切に受け継ぐことができ、子供が近くにいることで老後の心配がありません。
また、共働き夫婦のために、家事や子育ての協力が可能です。

夫妻のメリット

二世帯住宅で両親と生活することにより、自分たち(夫妻)にも蓄積したノウハウがありますので、子供の結婚による新しい家族の受け入れにも抵抗がありません。

子のメリット

祖父、祖母と一緒に生活する子供たちは、将来的にも二世帯での生活に抵抗がなく、そのような環境で育つため「いずれ親の面倒を見なければ」と考える子が多く見受けられます。
このように、二世帯住宅を建てるということは、家という財産を受継ぐことでもあります。そのためにも堅牢な構造やメンテナンス性といった耐久性はもちろん、暮らしの変化に柔軟に対応できる耐用性の高い住宅をつくることは不可欠になります。

6.やはり押さえておきたいお金の話

最後に二世帯住宅の建築コストを比較してみましょう。

単世帯住宅と二世帯住宅では、解体費、建設費、設計費はどの程度違うのかをご覧ください。

親子がぞれぞれ建てた場合 二世帯合計:8,710万円

親世帯 建築面積24坪

解体費 170万  
建設費 2,400万  
設計費 130万 (建設費の6%)
2,700万  

子世帯 建築面積28坪

土地代 2,800万  
建設費 2,800万  
設計費 150万 (建設費の6%)
2,925万  

<その他の費用>

  • 仮住まい、引っ越し、各種税金、火災保険など 約260万
  • 完成後にかかる維持費(光熱費+メンテナンス費)✕2棟

二世帯住宅の場合 建築面積45坪 一部共有タイプで想定:合計 5,065万円

解体費 150万  
建設費 4,500万  
設計費 225万 (建設費の5%)
4,875万  

<その他の費用>

  • 仮住まい、引っ越し、各種税金、火災保険など:約150万
  • 完成後にかかる維持費:(光熱費+メンテナンス費)✕1棟
  • ※光熱費は同居の場合、平均2割減となります。

このように二世帯住宅にすると、それぞれが建てる場合と比べ、3,600万円ほどの住宅の建築コストを抑えることが可能になります。ランニングコストも1棟で済むため、長い目でみても二世帯住宅は金銭面では有利になるといえます。
ただし、さきほど解説したとおり、二世帯住宅を建てるためには、いくつかの超えなければいけないハードルがあります。そこをクリアできるかを考えておかないと将来ずっと辛い思いをして暮らすことにもなりかねません。

あすなろ建築ではまずは最初に二世帯住宅のメリットデメリットをしっかりと把握いただき、ご納得いただいた上で、設計を進めています。
楽しいはずの家づくりを失敗しないためにも、ぜひ、二世帯住宅を検討されている方はご相談いただけたらと存じます。

あすなろ建築工房に二世帯住宅について相談する →


他の記事をみる