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梅雨時期の効果的な除湿方法

梅雨になり、毎日雨に降られることが多くなると「エアコンが効かない」というご連絡を頂くことが多くなります。

先日も、お客様から「エアコンが効かない」とのご連絡を頂きました。

皆さまも6月にエアコンの効きが悪いと感じることが多いのではないでしょうか?

実は「エアコンが利かない」という連絡は、エアコンの出番が多い真夏ではなく、6月に多いのです。

今回は梅雨時期にエアコンが聞きにくい理由、効果的な除湿方法をお伝えします。

梅雨時期にエアコンが聞かない根本的な原因2つ

梅雨時期に多くの人がエアコンを使ううえで間違いやすい点が2つあります。

  1. エアコンの温度設定
  2. 環境省が定める室温設定の考え方

皆さんのご家庭で、梅雨時期のエアコンの設定温度は何℃になっていますか?

おそらく26℃~28℃の設定になっているのではないでしょうか。

「環境省が定める設定温度は28℃」という話を聞いたことがあるため、リモコンの設定温度を28℃くらいに設定し、そのまま冷房のボタンをポチっと押している方が多いです。

梅雨のはじまりはそれほど外気温も高くないため、冷えすぎないように28℃くらいにしている方が多いようなのです。

ですが、環境省が定めている「28℃」は、「室温を28℃にしましょう」ということであり、「エアコンの設定温度を28℃にしてね」ということではありません。

また、基準は「真夏の電気需要のピークを抑えるために定められたもの」です。

実は、この2つの誤解が6月にエアコンが効かない現象につながっています。

梅雨時期の外部の温度や湿度の記録を見ると、気温が26度、湿度が100%近くになっています。

この状態で、エアコンの温度設定を「28℃・冷房」にします。

すると、設定温度よりも低い温度になっていることをエアコンは感知し、「冷房では設定よりも下がりすぎる、送風だけにしよう。」と判断し、「冷房」ではなく「送風」モードでの運転となります。

涼しくならないため「設定温度を2℃下げて26℃にしたけれど、それでも涼しくならない」「エアコンが壊れている?」と思ってしまうのです。

梅雨時期にエアコンが効かないときの簡単な解決方法

解決策として、設定を23℃~24℃など実際の温度よりも下げることで、しっかりと冷風が出てきます。

勘違いしている方も多いのですが、エアコンのリモコンの設定温度は、その温度の風が出てくるわけではありません。

たとえば、設定温度を27℃にすると27℃の冷風が出てくるのでなく、20℃くらいの冷風が出てきます。

室内の温度(エアコンのサーモセンサーの感知温度)が設定温度になったら運転が停止するのです。

ヒートポンプという機能上、正確には外気温から10℃前後低い温度(冬場は逆で高い温度)が吹き出しの温度となります。

夏場にリモコンの設定温度を16℃にしても、エアコンから16℃の空気は出てきません。

外気温が30℃なら頑張っても20℃くらいの吹き出し温度となるのです。

20℃の空気がいくら吹き出されても室内の温度は20℃以下には下がりませんので、お間違えのないようお願いします。

梅雨時期の除湿方法はエアコンがオススメ

梅雨時期の除湿方法のオススメはエアコンです。除湿機はオススメしておりません。

梅雨の時期には、26℃の気温で湿度が100%というベタベタして不快を感じる日が多くあります。

真夏であれば28℃設定でも家の中がどんどん暖められるので、エアコンが一生懸命に働いてくれて、温度を下げると同時に湿度もしっかりと下げてくれます。

外気温が26℃~28℃くらいで湿度が高い梅雨はエアコンの運転は難しい時期です。

こんな時期は、しっかりと気温と湿度を見て、運転方法を選ぶ必要があります。

実は効率の良い除湿は難しいのです。

除湿機はオススメしない理由

世の中には「除湿機」というものもありますが、これはオススメしておりません。

室内干し場的な閉鎖的な空間がある場合は「除湿機」を用いることもよいのですが、ご家族が生活するリビングやダイニングや個室などで除湿機を用いても快適性は上がりません。

除湿機を使うと室温が上がってしまい、快適になるどころか不快な環境になります。

洗面所や浴室などで「洗濯物を乾かしたい」のであれば、除湿機も良いでしょうが電気代はそれなりにかかってしまいます。

除湿機には、コンプレッサー方式、デシカント方式、ハイブリッド方式がありますが、どの方式も電気代は結構かかります。

特にデシカント方式、ハイブリッド方式は、どちらかと言うと冬向きの除湿機で、梅雨時や夏場に湿度を下げるには不向きです。

除湿目的であれば、優れた除湿能力があり、皆さんの家に必ずあるエアコンを活用するのが良いでしょう。

梅雨のエアコンには工夫が必要

梅雨時の除湿のためエアコンを活用する場合には、真夏の運転と違っていくつか工夫が必要です。

前述の通り、外気温がさほど高くないこの時期でのエアコンを運転させるには、「設定温度を室温よりも低く」して運転させる必要があります。

その際に、風流は「弱」にするほうが除湿量は多くなります。

意外かもしれませんが、風流「弱」でエアコン内でしっかりと除湿機能を働かせるのがミソです。

「エアコン一台で冷房と除湿」についてのブログも参考にしてください。

エアコンはヒートポンプという空気を圧縮したり膨張させたりすることで、外部と内部の温度を入れ替えています。

冷房運転は、冷えた冷媒を室内に持ち込むことで、同時に熱交換器に結露を生じさせ、室内を冷やします。

結露をたくさんさせることで室内の湿度を下げているため、ゆっくりと室内の空気を熱交換器に触れさせてやるのがよいのです。

そのため「湿度を下げたいなら『風量弱』運転」となります。

ただ「除湿する=冷房する」になると、除湿をしているうち室温もどんどん下がっていってしまうという問題が生じます。

梅雨時期に26℃で100%の空気を除湿しようとすると、室温も25℃以下に下がってしまうのです。

25℃以下で半袖で過ごしていると肌寒く感じてしまいますね。

そこで、考えたいのが「採熱除湿」という方法です。

高気密高断熱住宅の場合は、家全体を均一に冷やせるため、家の中が一度冷えてしまうとエアコンが働かなくなってしまいます。

エアコンが働かない状態では湿度が下がりません。

下げようとすると室温が下がりすぎてしまいます。

そこで「再熱除湿」を自動でなく、手動で行う必要が出てきます。

六ッ川の家では、冬の暖房用に設置した床下エアコンを採熱除湿のための暖房機として運転しています。

「冷房しながら暖房するなんてもったいない」と思われるかもしれませんが、温度を数℃上げるだけに使用する電気代はたいしたものではありません。

一日あたり数円位なので、気にせず使っても問題ない程度です。

ヒートポンプという技術は、小さなエネルギーで大きな効果を生みだせる画期的な技術なんです。

「除湿機」を使うより電気代も少なく、室内も快適に過ごせます。

まとめ

今回の内容をまとめると、次の通りになります。

梅雨時エアコンの設定温度は低め、風量は小

室温が下がりすぎる場合は、別のエアコンで暖房する

夏本番リモコンの温度設定は27℃~28℃、風量は「強」または「自動」

上記のようにエアコンの設定を調節して、快適に過ごしていただくためには、家の中と外の温度と湿度を知る必要がありますね。

簡単に設置できて、ほぼほぼ正確な気温と湿度を知ることが出来る温湿度計を設置すると安心です。

内外の一か所ずつ測定できるので、六ッ川の家にも置いています。

そしてもう一つだけ注意事項。

暑いからと言って「冷風扇(卓上クーラー)」を使っては逆効果になるため避けてください

詳しく知りたい方は、冷風扇のワナをご覧ください。

梅雨時でも効果的な除湿をして快適にお過ごしくださいね。


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