エアコンのメンテナンスしてますか?
このところ、以前とは違う夏の感じになり、異常なくらいの暑さに苦しんでいる方も多いでしょう。
この暑い夏を快適に乗り切るには、住まい手がいろいろと夏の準備をして、まさにこの時期の「夏本番」に備えておく必要があります。
準備は夏本番になる前に行っておかなければならず、一番の準備は「日射遮蔽の備え」になります。
・グリーンカーテン苗の植え付け
・日射遮蔽タープの設置
・日射遮蔽スダレの設置
さらにエアコンが無いと生死にかかわる時代となってしまいました。
そこで今回は、生死にかかわるお話と言うことで「エアコンのメンテナンス」のお話をしたいと思います。
エアコンのメンテナンスで実施すること
夏の準備で、次に大切なことは「エアコンのメンテナンス」です。
「既に夏本番になってから言わないでよ!」と言われてしまうかもしれませんが、エアコンには定期的なメンテナンスとお手入れが必要となります。
日頃のお手入れがとっても大事。
お手入れとは「フィルター掃除」と室外機周辺と室内機周辺に異常がないかどうかの確認です。
フィルター掃除
エアコンを使用する際は、フィルター掃除を1か月に1回は行いましょう。
家じゅうの埃を吸い取るエアコンのフィルターは、思った以上にびっしりと埃がついているからです。
フィルター掃除についてくわしくは、ブログに書いていますので参考にしてください。
夏は風量も多くなりますので、2週間に一度はフィルター清掃をしていただくのがよいと思います。
室外機周りのチェック
室外機は砂埃や雨の影響をモロに受けるため、目詰まりや汚れが溜まりやすいと言えます。
汚れた室外機を放っておくと、エアコンの運転効率が下がる、電気料金が高くなる、故障リスクが高くなるといったデメリットが。
チェックを怠らないようにしましょう。チェック項目をお伝えします。
室外機周りでは「雑草が生えてしまっていないか」「ドレンホースが健全な状態にあるかどうか」「異音がしていないか」を確認してください。
室内機周りでは、上記のフィルターのお掃除の他に「水漏れがないか」「異音がしていないか」「エアコン自体にカビなどが生えていないか」を確認してください。
エアコンからの水漏れが多くなる夏本番
夏本番に入ってから、メンテナンス担当に連絡が多くなるのが「エアコンからの水漏れ」です。
「エアコンからポタポタ水が落ちてきている」
「エアコンから滝のように水が落ちてきている」
など症状は様々です。
エアコンからの水漏れの原因
エアコンからの水漏れの原因はいくつかあります。
まず「エアコン自体の結露」があります。
エアコンで冷やし過ぎて、熱交換器のアルミフィン(銀色のヒダヒダがあるところ)以外にも結露が生じてしまい、ドレンパンと呼ばれる結露受け以外から結露水が垂れてくるものです。
小屋裏など狭い空間や小さなお部屋でキンキンに冷やした場合などに、起こりやすい不具合です。
エアコンの設定温度と風量を調整したり、エアコン付近に冷たい空気が滞留しないようにサーキュレーターなどで空気を攪拌することで防げます。
次にエアコンからの水漏れで一番多いのが「ドレンパイプの詰まり」によるものです。
エアコンは外の空気と家の中の空気を熱交換して家を暖めたり冷やしたりしてくれる便利な装置です。
冷房時には外の高湿な空気を冷やすことになるので、どうしても結露水が生じます。
熱交換器のアルミフィンで結露させて、ドレンパンで結露水を受け止めて、ドレンホースで外部に排出させています。
このドレンホースで詰まりが生じてしまって、室内に結露水が溢れ出てしまうという不具合です。
高温多湿だとエアコンへの負荷も大きい
気温も高く湿度も高い日が続くと、エアコンフル稼働状態のお家も多いと思います。
例えばですが、2023年7月26日は気温35度で湿度も60%を超えていました。
こんな気温の日に、室内を快適な温度にさせるには、エアコンを相当頑張って運転させる必要があります。
十分な断熱性能と気密性能を有している場合には、エアコンもそんなに頑張って運転させなくてもよいのですが、断熱性能が低かったり、日射が入って来てしまって負荷が多いお家では、この時期にはエアコンが能力目一杯にフル稼働している可能性があります。
室内のエアコンの熱交換器のアルミフィンを見てみてください。
ビショビショに濡れていると思います。
エアコンが室内温度を下げるには、室内の温度が露点を迎えてしまうので、相当な水分が排出されています。
気温35度で湿度が60%の外の空気の絶対湿度は21.5g/kgです。
エアコンで27度70%位の室内環境にするとなると16g/kgとなります。
室内は外部に比べて、かなり湿度が下がっています。
つまり温度を下げると同時にたくさん除湿しています。
この運転の状況ではエアコンも目一杯頑張っているので、機種にも寄りますが、室内機の吹き出し温度は16度で600m3(りゅうべい)以上の大風量で吹き出していることになっていると思います。
簡単に結露の量を計算してみたいと思います。
計算には空気線図が必要となり説明すると大変なので、ここでは説明を省略しますが、エアコンの吹き出し温度の16度の絶対湿度は10g/kgなので、簡単に結露量を計算すると8kg/hの結露量になります。
1時間あたり8kgつまり8リットルもの結露が生じています。
バケツ1杯分の水の量です。
1分にすると、133mlの量です。
4分でペットボトルがパンパンになる量です。
1秒当たりだと、2.2mlです。
大粒のしずくが「ポタポタポタ」と落ちてくる量となります。
この結露させた水を外に排出させてあげなければなりません。
ドレンホースの負荷から水漏れに
少しくらいの結露水であれば問題はないのですが、これだけの水量を排出させるにはドレンホースが健全な状態でなければ排出は出来ません。
ドレンホースとは、外の室外機の傍に出ている穴の開いたホースのことです。
室外機のところで水がぽたぽたと落ちている姿を見た方も多いと思います。
このドレンホースが捻じれていたり、出口が草や植木鉢などで塞がれていたりすると、十分に排水できなくなり、室内のエアコンからドレン水が溢れでてきてしまったりします。
ドレンホースの不具合は外部だけではありません。
先ほど説明した熱交換素子の下部には結露した水を受けるドレンパンと呼ばれる受け皿があります。
このドレンパンにドレンホースが繋がれているのですが、このホースのつなぎ目部分が詰まっていることがあります。
我が家の事例をご紹介します。
エアコンから滝のように水が落ちてきたことがありました。
そこで、エアコンカバーを外してみました。
ドレンパンを外してみると、結露水でぬるぬる状になった埃が溜まっていました。
これではドレンホースも詰まってしまいます。
キレイに清掃して埃を取り除きました。
ここまでの清掃は一般の方では難しいため、専門業者が行う必要があります。
サクションパイプは常備しておこう
あすなろ建築工房で新築されたお客様には、ドレンホースの詰まりを除去するためにサクションポンプは常備しておくようにお願いしています。
このサクションポンプでドレンホースの詰まりを除去できます。
これがないと、ドレンホースが詰まってしまった場合は、ホースを口にくわえて思いっきり吸います。
「吹いて」はダメで、ちゃんと「吸って」くださいね。
吹いてしまうと、室内機の周りで排水できずにドレンパンに溜まった水が、勢いよく落ちてきてしまいます。
口で吸う場合ですが、吸ったらすぐに口から外すことを忘れずに。
勢いよく吸い続けると、上記で見てもらったヌルヌルの埃や中で詰まっていた虫の死骸が口の中に飛び込んできますのでご注意ください。
日頃のエアコンのメンテナンスを大事にしよう
エアコンの稼働率が上がるとどうしても埃も溜まるようになります。
極力埃が溜まらないように、フィルターをコマメにお掃除してあげることが詰まり防止の一番の対策です。
そしてフィルター掃除をコマメにしていたとしても、フィルターを透過してしまう埃もあって、熱交換器のアルミフィンに付着して、結露してドレンパンに落ちて来てしまいます。
ある程度溜まってしまうと、ドレンホースに詰まってしまいます。
エアコンフル稼働が長くなるとどうしてもこの詰まりは生じてしまいます。
壁掛けエアコンを使用している限りは避けようがない現象とも言えます。
以前にエアコンメーカーに「ドレンホースを太くして欲しい」「ドレンパンを清掃しやすくして欲しい」と要望を出したことがあるのですが、けんもほろろでした。
エアコンメーカーとしては、壁掛けエアコンは個室を空調するための設備であって、家全体を空調させるものではないため、「家全体を空調させて、24時間運転するような場合は、業務用かアメニティダクト式エアコンを使用してください」とのご回答でした。
昨今の高性能住宅の普及に伴うエアコンの使われ方は、メーカーとしては想定していない使われ方となります。
かといって、メーカーの言うように業務用やアメニティダクト式エアコンを使いたくはありません。
容量の小さな壁掛けエアコンを使って全館空調をする場合には、住まい手さんが日頃のメンテナンスとハプニング対応に備えて頂く必要が出てきます。
「それが嫌だ」という方は、業務用やアメニティダクト式エアコンを使うしかありません。
このところの異常気象からすると、広く普及している壁掛けエアコンも負荷が大きくかかるようになり、ドレンホース詰まりに寄る結露水漏れがもっともっと続出して社会問題になる日も近いかもしれませんね。
エアコンのメンテナンスはしっかりと行うようにしてください。
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