在宅避難のために備えておくべきもの
2024年お正月に能登半島を中心とした大地震が発生したことから、「最低限確保しておきたい耐震性能」「災害に強い高断熱高気密住宅」の話をさせていただきました。
今回の地震の避難者は数万人規模に及んでいると報じられています。
応急仮設住宅の建設の予定も決まり、民間賃貸住宅(借上型応急仮設住宅)の手配も進められ、1.5次、2次避難も行われ始めました。
ですが、避難所での生活は何かと大変なものです。可能なら自宅に滞在できる方がいいと思いませんか?
今回は、「在宅避難のために備えておくべきもの」をお伝えしていきますね。
避難所での生活でのストレス
避難生活はいろいろな不便が伴います。
犬や猫のペットを飼っているご家庭は避難所に行くことを避ける方も多いようですが、避難所は基本的にはペットの同行が可能とされています。
環境省作成のペットが居るご家庭用のリーフレットに一度目を通しておくと安心ですよ。
避難所の環境については、ダンボールベッドや仕切りで配慮があっても、雑魚寝の生活となる可能性も十分にあります。
トイレ問題も深刻です。
地震での被災の場合には、上水と下水の両方が機能せず、トイレはすぐにあふれ出してしまいます。
そんなトイレを使いたくないという理由で避難所に行かないという方も多いようです。
避難所での生活だと飲料水や食料などの心配はありませんが、トイレの問題や暑さ寒さと慣れない集団生活に相当な疲労が予想されます。
小さなお子様や高齢者、ペットがいるご家庭では、ストレスやリスクが考えられる集団での避難所生活を避けて、自家用車やビニールハウスでの避難生活を送られている方も大変多くいらっしゃいます。
選択の余地なく避難所に行くのではなく、自宅に滞在できる方がいいと思いませんか?
災害時に「避難所に行かなくて済む」「自宅で過ごすことが出来る」ということは、ご家族にとっても大きな安心につながるのではないかと思います。
在宅避難のために備えておくべきもの
普段から在宅避難のために備えるべきなのは、以下の7点です。
- 食料
- 飲料水
- ウォーターバッグ
- 簡易トイレ
- 雨水貯水タンク
- 電源の確保
- 水の要らないシャンプー
ひとつずつ解説していきますね。
1.食料
必ず必要な食料の備蓄ですが、普段からレトルト食品や缶詰をローリングストックして、4日分のストックを常に置いておくのがおすすめです。
ローリングストックとは、普段食べる食品を多めに買って備えておき、期限前に食べて、食べた分を買い足す備蓄方法。
日常生活の中で食料を備蓄できるため、フードロスや買い忘れがなくなりますよ。
ローリングストックできる食材は、缶詰、パックご飯、乾麺、レトルト食品、お菓子、長期保存できるジュースなどがあります。
普段から意識してみるとよいでしょう。
2.飲料水
各ご家庭には、当然のことながら「防災用品」をご準備され、お水や食料を備蓄されていると思います。
参考までに横浜市の「備蓄について」のページがこちら。
1日一人当たり3Lの飲み水が必要となるため、4人家族、3日間の飲料水だと3L×4人×3日=36Lです。
2Lのペットボトルが18本分の備蓄が必要になります。
食料、飲料水以外で、家づくりをした時点から用意しておくべきものがあります。
マンションなど集合住宅の場合には、管理組合などで住民に対して最低限の物資や食料の備蓄をしている場合もあります。
一戸建てにお住まいの方は、自分自身で必要な資材や食料の備蓄を行う必要がありますので、以下でくわしく解説していきますね。
3.ウォーターバッグ
大きな地震の際、道路に埋設された給水管が破損して断水となる可能性があります。
地震に強い給水管や排水管に入れ替えている自治体もありますが、全体の一部と言えるでしょう。
断水が長期にわたる場合には、各自治体が給水車で各町を回り、給水所が開設されます。
水を運ぶためのポリタンクが必要ですが、それ自体も手に入れにくくなります。
ポリタンクの常備もよいですが、場所を取ってしまうためウォーターバッグを常備しておくこともよいと思います。
自治体で準備されていても、被災時にウォーターバッグが手に入るとは限らないため、自宅で準備しておくのがおすすめです。
4.簡易トイレ
下水管が地震で破損して、排水できない場合もあります。
汚水が流れなくなってしまう状況になるため、「簡易トイレ」が役に立ちます。
便座付きの簡易トイレや家の便器を利用するタイプの簡易トイレがあると便利です。
実際に災害が起こると品切れしたり値上がりしたりするため、普段から常備しておきましょう。
ちなみに私は自宅、事務所に常備しています。
5.雨水貯水タンク
水道が止まってしまうと、飲み水だけでなく「手を洗えない」「お風呂に入れない」「トイレを流せない」などの問題が生じます。
実際に阪神淡路大震災後の被災者アンケートで最も困ったことの第一位が「生活用水(トイレ、洗面、掃除など)の確保」となっています。
(参考:国土交通省近畿地方整備局公式サイトhttps://www.kkr.mlit.go.jp/plan/daishinsai/2.html)
給水所で手に入れたポリタンクの水は、実は半分はトイレに流されているのが実態だと言います。
トイレの排水や手洗い程度であれば、水道水でなく風呂の残り湯や雨水で十分なので、風呂上がりのお湯や雨水を普段から貯めておくことをおすすめします。
特に雨水はタンク容量次第ですが、かなりの量を貯めることが可能です。
屋根に振った雨水をそのまま放流してしまうのではなく、一度、雨水貯留タンクを経由させ、普段はそこに雨水を溜めておくものです。
六ッ川の家での設置は以下のようになっています。
普段は庭木への水やりにも使い、災害時には雨水貯留タンクに貯められた雨水をトイレの排水に使います。
家族分のトイレ用の水が常に確保されているのは安心につながります。
床下に水道水を貯めておくタンクもあります。
費用は掛かりますが、いざという時には安心です。
エコキュートを採用している家は、ここから水を取ることも可能です。
パナソニックの説明動画はこちら。
4人用のタイプなら満水時で470Lの水が確保できていることになり、石油のポリタンク26個分の水に相当します。
家づくりの際には、災害を考えて貯水システムを検討すると良いでしょう。
6.電源の確保
そして次に「情報」を得るための電源確保も大事です。
2022年の千葉県での台風被害の際には、携帯電話を充電するために多くの人たちが市役所に列をなして、充電している姿を見ました。
最低でも携帯電話を充電できるだけの電源を確保しておくことをお勧めします。
太陽光パネル
停電時へのリスクヘッジとして、屋根の上に太陽光パネルを設置することも良いでしょう。
大きな台風、遅い台風の場合には、停電が数日間に及び、停電により冷蔵庫の食材が腐る被害が多いです。
太陽光発電パネルが設置されていると自立運転モードに切り替えて、太陽光パネルで発電した電気で冷蔵庫などの一部の電化製品を可動させることができるので安心です。
太陽光発電パネルの設置が無いお家の場合は、大きめのクーラーボックスがあると良いでしょう。
クーラーボックスも性能の差はまちまちです。
6面真空の断熱性能の高いタイプだと、性能は間違いないありません。
我が家は釣り用の高性能のモノを一つ常備しています。
こちらもおすすめです。
ポータブルの発電装置
小さくてもよいのでポータブルのソーラーパネルと蓄電池を準備しておきましょう。
携帯電話が充電できるだけでも十分です。
ちなみに我が家はこちらを常備しています。
ちょっとお高いですが、普段はキャンプなど利用し、実際に停電になった際には大活躍します。
商用電源が完全に止まってしまった場合、どうしても必要なのは冷蔵庫、扇風機、携帯電話充電でしょう。
どれくらいの容量を準備すべきか検討してみました。
携帯電話の充電は微々たるものなので無視して良いです。
新しいタイプの冷蔵庫は1日で600Wくらい、扇風機が30W/hで24時間運転すると720w、トータルで1日分1500Wが理想と言えるでしょう。
夜間の照明まで考えると2000Wあると安心なので、お金に余裕があるのであれば2000タイプがよさそうです。
ソーラータイプの充電は、季節や天気で充電できる時間が変わるため、大容量があるとやはり安心ですね。
私は、携帯を充電できる小さな太陽光発電パネル、小さな車用のバッテリーも準備しています。
携帯電話充電用太陽光パネルの記事に詳しく書いております。
ガスカセットボンベ
また、ガスカセットボンベを用いる発電機も常備しています。
カセットコンロ用ボンベを燃料として使えます。
ガソリンのストックは大変ですが、カセットボンベであれば保管も簡単ですよ。
お湯を沸かし、簡単な調理ができるカセットガスコンロも一家に一台必需品と言えるでしょう。
情報を得るということであれば、手回しの発電機付きのラジオでも構いません。
ちなみに私はこれを非常用持ち出しバッグに入れてあります。
非常時に情報を得られるものは必ず準備しておきましょう。
7.水の要らないシャンプー
今回見直して、自宅で準備していないものが一つありました。
それは「水の要らないシャンプー」です。
断水が長く続くときには必要ですが、災害が起こってからでは手に入りにくくなってしまいます。
常に常備しておくと安心ですよ。
報道を見ていると、寝室にヘルメットと外履きを備えておくことは有効です。改めてその必要性を感じますので、備えをしておきましょう。
以上のように「家づくり」を行う際から、しっかりと対策を施して「自宅が避難所になる家」としていただきたいと思います。
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