家づくり

建売住宅はデメリットだらけ!住んだ後を想像したことがありますか?

今までのコラムでは、建売住宅やローコスト住宅についてお伝えしてきました。

実際に、知人が購入しようとしていた住宅が一気に値下がりしたり、キャッチーなコピーで多くのギフトがついていたり、現状について疑問を抱く声が多数寄せられています。

そんな建売住宅ですが、実際に住むとどうなるのでしょうか?

建売住宅しかないから、と何も考えずに購入するのではなく、購入して住んでみたらどうなるのかを想像して、検討するとまた違った見方ができるのではないでしょうか。

今回は、「建売住宅に住んだ後どうなるかを想像してみる」についてお話しておきたいと思います。

建売住宅やローコスト住宅とはどんなもの?

まず建売住宅やローコスト住宅についておさらいしておきたいと思います。

ローコスト住宅の究極のコストカットした形が建売住宅で、ローコスト住宅は、ローコストハウスメーカーが市場の競争に勝つために「いかに安く作るか」を念頭に置いて作り上げた住宅です。

「住まいやすさ」や「光熱費の削減」や「居心地の良さ」というところは、後回しにして「いかにトータルコストを安く抑えられるか」だけを追求した家となっています。

・構造材はホワイトウッドやレッドウッドの集成材の105角(3.5寸角)
・屋根はコロニアル・外壁はサイディング
・雨樋は塩ビ
・床材は合板フローリング
・室内壁と天井はビニルクロス(量産グレード)
・キッチン、洗面台、浴室、トイレなどの住宅設備はメーカーの廉価盤
・構造等級や断熱等級は建築基準法をギリギリ遵守した性能
軒無し
・物干しなどの庇なし
・駐車場はコンクリート仕上げ
・植栽無し
・隣地との間の空地は砂利敷き

上記のような特徴を持っていると考えてください。

そして、特徴的とも言えるのが「設計者が未熟」ということです。

以前に設計スタッフ志望で、中途の方の面接をしたことがあります。

某大手ビルダーの下請けを長くされており、設計者としてはまだ若いのですが、すでに1千件以上の住宅を設計してきたとのこと。

過去の図面を拝見したのですが、決して褒められた内容ではありませんでした。

話しを聞いてみたら、早い場合には3日に1軒くらいのペースで設計をしているとのこと。

それくらいのペースでやらないと設計で食べていけないのです。


土地を見て周辺環境を調査し、要望事項を整理して設計、施主に確認して図面化し、見積して確認申請通して、と私たちが6か月かける作業が3日とは…。

こんな状況ですから、建売住宅やローコスト住宅にお住まいになられてから「夏暑くて、冬寒くて、もう耐えられない。断熱改修したい。」とご要望を頂く方は多くいらっしゃいます。

新築してからたった3年で大規模改修をした方もいらっしゃいます。

建売住宅に住んだ後どうなるのか?デメリットが多すぎる

では、実際に「建売住宅に住んだ後どうなるか」を想像してみましょう。

例えば、私の自宅近くで販売されていた建売住宅は床面積が30坪で2階リビングの4LDKの間取りになっています。

1階には玄関の収納、洗面所の面積が狭いといった問題点がすぐに見つかります。
これでは、玄関に荷物が溢れ、外収納を置いてガレージに駐車困難になってしまう可能性が。

洗面所は洗濯機を置くとパンパンで、着替えやタオルなどを置くスペースがないため、2階リビング近くに着替えやタオルなどを入れるタンスが置かれるようになるでしょう。

洗濯機の後ろの窓は一度も開けられず、そのまま放置状態になり、枠周りがカビだらけに。湿気がこもったなんだか嫌な臭いのする空間になる様子が浮かびます。

2階にリビングがあるのですが、1階に洗濯物を干すスペースがないので、2階のバルコニーに運ぶことになるでしょう。すると、洗濯物を見ながらくつろぐことに…。



またリビングとトイレの距離が近すぎて、音や視線が気になり、実際に使うことはなくなるでしょう

キッチンの収納も足りないため、適当な棚を置くしかありません。

するとキッチンの幅が狭くなり、作業がしにくくなってしまいますし、パントリースペースがないため、キッチン以外に保存食を置くスペースを作らなければならなくなります。

ダイニングスペースが小さく、リビング周りの収納場所がないので、収納や家具の配置に困るのも明らか。

3階まである住宅ですが、急な階段のため、実際には使いにくくなって、最終的には物置になってしまいます。

冷暖房を考えても、部屋が細かく区切られているため、エアコンの台数がそれぞれ必要に。

夏には日射遮蔽が考慮されていないため、灼熱地獄となってしまい、エアコンを長時間作動させないとエアコンが効かない家になってしまうでしょう。

冬には、3階で冷えた空気が階段を下りてくるので、2階リビングは冷気が落ちてきて寒く感じます。

北側に面したクローゼット内で結露が生じ、普段着ない洋服がカビだらけになってしまうでしょう。

洗面所も寒くてヒートショックが気になるように。

建売住宅に住んだ場合の問題点とは

また他の家の間取りを見ても、すぐに問題点が浮かびます。

考えられる問題点が多数あるのです。

個室の幅が狭く、家具の配置に困る
収納の量が足りない 外に物置を置こうにも、外にもスペースがなく、トランクルームを借りる必要が出てくる
バルコニーの方位が考えられておらず、洗濯物が乾きにくい
洗濯物を部屋干しする設計はされていない
庇がないため、日射熱が激しく、冷房を入れても涼しくならない
玄関を空けると、家の中が奥まで丸見え
自転車スペースがなく、自転車用物置を設置しなければならない
外回りに門灯も外灯もないため、夜は家の前が真っ暗
外回りに水道がなく、車の洗車を家でできない
外構はすべてコンクリートのため、植栽は植えられない
アルミ樹脂やサッシの窓で、結露がひどい
結露を放置するとカビやシロアリの被害のもとに
夏は暑く、冬は寒いので、冷暖房が欠かせない
冷暖房費がかさむため、家にいる時間が減る
サイディングの外壁は、苔やカビで黒ずむ
フローリングがめくれたり色褪せたりする
ビニルクロスはつなぎ目が目立ち、浮いてくる
廉価版の洗面台やキッチンの扉は10年程度でプリントが剥がれる
10年ごとに足場をかけた外壁のリフォームが必要
リフォームを怠ると、30年後には建て替えしかなくなる

世間に多く見られる建売住宅、ローコスト住宅の間取りを拝見すると、以上のような問題点がボロボロ見受けられるのです。

建売住宅やローコスト住宅などの収納の少ない家が量産されているため、街中にトランクルームが増えていると思いませんか?

住んでから、このような不都合が多いことで、結局コストが増加します。

冷暖房費、リフォーム代、物を収納するためのトランクルームレンタル代。

建売住宅はデメリットが多くおすすめできない!

このように「住らしにくさ」だけでなく、結果的にお金がかかり、そして健康にも害を及ぼしてきます。

家の居心地が悪いので、休みの日にはイオンモールとかに出かけるようにもなります。

外食して買い物も多くなるため、さらに出費やモノが増えます。

建売住宅、ローコスト住宅にに住むということは、負のスパイラルつまり悪循環に繋がる恐れが大きくなるように思います。

このようなことが建売住宅、ローコスト住宅に住んだ後に待ち構えていることが想像できます。

実際に、建売住宅にお住いの方から上記のようなお悩みを聞く事も多いのが現状なのです。

これまで住宅に関する仕事をしてきましたが、「建売住宅に住んでいて幸せな暮らしをしている」という人をまだ見たことがありません。

皆さん相当なストレスを抱えながら「仕方がない」と諦めながら住み続けている方が多いのです。

とにかく安く買わせて「後のことは知りませんよ」というのが建売住宅とローコスト住宅です。

世の中には、他にも後からお金を使うような(使わされる)仕組みがたくさん溢れています。

家を安く手に入れたつもりでも、後からしっかり使うことになります。

土地探しをしていて「建売住宅にするしかないか」と思われている方、今一度思い直してみてください。


他の記事をみる