メンテナンス

知らない人を屋根に載せてはいけません!

これまでにも注意喚起してきた悪徳のリフォーム業者ですが、相変わらず横行しているようです。

数日前も「屋根の様子がおかしいと訪問営業を受けた。不安なので見て欲しい。」と、お客様からご連絡をいただきました。

当社のメンテナンス担当者がお伺いし、屋根を拝見しましたが異常はありませんでした。

梅雨前や台風シーズン前には、かなり積極的に営業訪問しているようです。

ということで、今回は「悪徳なリフォーム営業」について解説していきますね!過去にも多数の事例がありますので、事例を紹介しながらお伝えしていきます。

突然のインターホンは○○

ここ数年、OBのお客様から「屋根の様子を見て欲しい」とご連絡をいただくことが増えました。

話を聞くと、冒頭のお客様のように「「屋根に不具合があるようなので、梅雨に入る前に修理した方が良い」と言われたそうです。

その人物というのは、通りかかりの屋根業者だったり、近所で工事をしている職人だったりします。

先に答えを言っておきますが、これらの「突然インターホンを押してくる人物」は、99.9%

悪質な営業手法をしているリフォーム業者です。

通りかかりの屋根業者や近所で工事をしている職人を語ったとしても、実際には屋根業者でも職人でもありません。

手あたり次第インターホンを押して、次のように話を持ちかけているのです。

「お宅の屋根の様子が気になる。梅雨に入る前に手直ししておいた方がよい。ちょうどハシゴを積んでいるので無料で見てあげてもよいです。」

絶対に、このような業者を相手にしてはいけません。次から事例をご紹介していきますね。

事例1

もう6、7年前になりますが、私が修業した工務店でリフォーム工事を行ったお客様から「家の屋根を見て欲しい」とのご連絡をいただき、屋根の調査に伺いました。

近所で工事を行っているというリフォーム業者が突然訪問し、次のように話していったというのです。

「お宅の屋根の『雨押さえ』が剥がれかかっている。剥がれてしまうと雨漏りにつながるので、今なら無料で直してあげる。」

結局、心配になって私どもにご連絡をいただきました。

その業者が残したメモ書きはこちらです。

業者のメモに記された「雨押え」とされる部分がどうなっているか、実際に私が屋根に上って確認した写真がこちらです。

まったくもって「異常なし」でした。

先ほどの業者のメモを改めて見てみると、漢字の間違えが多く、内容もひどいです。

そもそも道路から屋根の「雨押え」と業者が呼んでいる部分は見えませんし、もし見えたとしても剥がれているかどうかなんて、遠目で判断できません。

ご丁寧に説明の絵まで描かれていましたが、指摘した場所のことを普通は「雨押え」とは呼びません。建築を分かってない人なのでしょう。

このような業者は営業スタッフの求人広告をたくさん出しています。そしてクレームが溜まって行政処分を受けると会社を閉じ、別の会社を開いて同じことを繰り返しているようです。

お客様のところに来た営業もかなり若い人だったとのこと。その営業の人も経験もなく突撃訪問させられ、嘘をつかされて大変だったことでしょう。

受注契約を得られなければ、手取りはほとんどなく、行政処分を受けたら会社がなくなってしまう。

せっかく住宅業界にやってきた貴重な若者なのに、嫌な記憶しか残らなかったかと思うと、残念で仕方ありません。

事例2

私の古い知人の家に「近所の屋根塗装の工事をしている」と言う業者の職人さんが突然訪ねてきて、次のように話したと言います。

「近くで屋根工事に入っていて、朝からの作業の騒音でうるさくて申し訳ありませんでした。

ところで、お宅の屋根の板が風で外れかかってバタバタ言っているのが現場の屋根から見えました。

もし良かったら、屋根に上がって釘を打つだけの応急処置しましょうか?」

費用について聞いたところ「屋根に上がって釘打つだけだから要りませんよ」と言われ、お願いしたと言います。

ものの2〜3分で作業は終わり、写真を撮ってきてくれたそうです。

そこで見せられたのがこちらの写真です。

「直しておきました。雨が降る前でよかったですね。」

と、恩を売ってこの日は去っていったと言います。

知人はすぐ私に連絡してくれたので、この後に「何かがある」と思っていた方がよいとお伝えしました。

風が原因で、この画像のようなめくれ方(反り方)は絶対にしないです。

この写真を板金屋さんにも見てもらいましたが、「自然にこのようなめくれ方をすることはありえない」と仰っておりました。

人為的に釘を抜いて、棟板金を無理やりめくりあげていると言うのです。

この写真を見る限り、棟以外の部分に何か細工をして雨漏りの原因を作るなど、後日連絡をもらうための仕掛けをしている可能性があります。

 

知人は善意だと思ってますが、残念ながら悪質な営業行為です。

神奈川県板金工業組合も注意喚起しています。

騙されたことにも気が付かない被害者も多いのですが、一度なにかを許した後では、次の提案を断りにくいという人の善意を利用した営業活動です。

必要ない屋根工事を無理やり発生させて、暴利をむさぼっていると思われます。

飛び込みの知らない業者を家や屋根に上げることは、絶対しないでください。

事例3

もう一つ、事例があります。

新築現場のお隣の住人の方から「お宅の屋根屋さんからお声かけ頂いた件ですが、日程を変更してもらえませんか」とのご連絡が事務所に入りました。

現場の監督や大工や屋根業者は誰も身に覚えがないとのこと。

どうやら工事にまったく関係のない業者が、近隣の方に声をかけて屋根に登ろうとしたようです。

「お隣の工事でご迷惑おかけしております。現場から見たらお宅の屋根の様子があまりよくないように見えます。雨漏りしていないか様子を見ましょうか。」と声をかけてきたと言うのです。

お隣の方は、「お隣の工事の業者さんが善意で声をかけてくれた」と思ったそうです。

当日もらった名刺が見当たらず、近隣挨拶の際の弊社の挨拶状を見つけて、弊社に電話をいただきました。

ワザと曖昧な表現で相手を誤解させ、屋根に登ろうとしており、明らかに悪質です。

後日屋根を拝見させて頂いたところ、すぐに雨漏りに繋がるような不具合はもちろんありませんでした。

巧妙な手口の業者も!

まだ他にも事例があり、知人工務店さんとの情報交換の際、劇場型の営業の話も聞きました。

2人のまったく別のリフォーム会社の営業マンが、数日の時間をおいて「屋根の様子がおかしいですよ」とやってきたそうです。

それぞれ知らない他人として、あくまでも偶然に屋根の不具合を見つけたという体裁です。

2つの業者から同じ指摘を受けたため、そのお客様も不安になり、家守り工務店に連絡をしてきました。

後から調べると、その2つの業者はグルだったという巧妙な手口です。

また、こういった事例もあります。

傾斜地住宅街にお住いの方は、上の家にリフォーム業者が来ていた際に、上から見ると屋根の瓦がズレていると指摘され、無料で点検してもらいました。

点検後、業者は修理が必要と説明し、写真を4枚見せながら修理を勧めてきました。しかし、Aさんが修理を断ると業者は態度を変え、写真のフィルム代4,000円を要求したと言います。

その後、Aさんの知人の工務店が調査したところ、瓦が不自然な形でズレ、割れていたことが判明しました。

最近割れた感じだったそうで、その悪徳業者が瓦をズラして、わざと数枚割っていったと予想されます。本当に悪質ですね。

SNSにて、他の工務店仲間からこのような情報も頂きました。

「この手のやり口は、若い営業マンが先に訪問して脈がありそうな場合に先輩が後から一緒にやってきます。

とにかく、手あたり次第、若い営業マンがピンポンして回ってるものと思われます。

その会社では、やたらと営業マンの求人広告を出しています。」

まとめ 怪しい業者がやってきたら

悪質なリフォーム営業の事例は、本当にたくさんあります。

ほとんどのお客様は「心配なので、念のため見て欲しい」と思いますが、大工や職人に依頼して屋根を調査するには費用も生じます。

何事もなければその点検に要した費用のほとんどは工務店が費用を負担するため、悪徳業者は、健全な地域工務店にとって、はた迷惑な存在なのです。

悪徳業者だと分かっていても、何度も訪問されるとお客様も心配になってしまい、そのたびに私たち地元の工務店が念のための調査に伺うことに。

大事な家に長く安心してお住まいいただくためにも、家のメンテナンスは、地域にしっかりと根ざして仕事をしている工務店に普段から依頼をするようにしてください。

飛び込み営業やチラシの格安業者だけは絶対にNGです。

もしも「お宅の屋根が…」と言ってくる訪問者がいたら「ちなみに屋根のどこの部分ですか?いつも見てもらっている工務店さんに伝えておきます。ありがとうございます。」と言って名刺をもらってください。

そう言うと屋根のどこ部分かの説明もせずに、そそくさと名刺を置かずに逃げていくはずです。

善意のある本当の話であれば、不具合のある部分の詳細と連絡先を置いていくでしょう。

そのどちらもしないということは、120%怪しい業者と思って構いません。

しっかりと信頼できる家守り工務店との付き合いを大切にしていただければと思います。


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