家づくりコスト

インフレ経済下での家づくり

皆さんご存じの通り、このところ建設資材が高騰し、この3年で建設資材の上昇は3割を超えています。

しかし、住宅価格は数%しか上がっておらず、工務店が負のスパイラルに陥っている状況があります。

今後の家づくりをどうしたら良いのか、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

今回は、工務店の現状からインフレ経済下における家づくりについてお伝えしていきます。

 

工務店の現状

先日、住環境価値向上事業協同組合(SAREX)のワークショップの講義にて、工務店の「負のスパイラル」の話がありました。

建築資材の物価指数は上昇を続ける一方で、住宅の価格はこの10年で14%、この数年だと数%しか上がっていません。

つまり、日本の家づくりにおいては、原材料費の上昇を販売価格に転嫁が出来ていないということです。

 

価格を上げると受注が取れないため、「価格を上げられない」住宅会社がとても多くあります。

「価格を上げられない」ので、上がった原価を抑えるために「スペックを落とす」ことが当たり前になってしまっています。

 

スペックを落とすため、手っ取り早いのが、目に見えない場所の原材料費や人件費を削減することです。

構造材や断熱材を削減した住宅会社もたくさんあるそうです。

仕上げの材料にも「新建材の多用」をして、スペックを下げて対応されています。

今まで「自然素材しか使いません」と言っていた住宅会社まで新建材を使うようになっているとのこと。

そうすると結果として「競争力が減る」ことになり「予算の低いお客さんしか受注出来ない」ことになります。

 

原材料費の価格高騰

   ↓

販売価格に転嫁出来ない

   ↓

スペックを落として対応

   ↓

競争力が減る

   ↓

予算の低いお客さんしか受注出来ない

   ↓

利益が出ない

   ↓

販売価格に転嫁出来ない

 

こういった状況が続くんですね。

 

この負のスパイラルに陥っている住宅会社さんが相当数になっているとのことでした。

このスパイラルに陥ると、待っているのは倒産です。

現に、新建ハウジングの倒産に関する記事は増加の一方です。

 

すでにインフレ状態になっている日本

原材料費の価格が上がることは、実は経済にとっては悪いことではありません。

消費者物価指数の動きを見ても、日本の経済はインフレ状態にすでにあります。

 

土地の価格は首都圏だけでなく、地方も含めて上昇を続けており、春闘の賃上げ率は、2年連続で満足回答となっています。

少し前まで「日本はデフレ経済」と言われていましたが、実は既にインフレ経済に入っているのですね。

そんなインフレ経済下で、大手のハウスメーカーはすでに価格転嫁をしているという記事も発表されています。

すでにこのハウスメーカーの平均価格は5000万円台になっているとのこと。

 

大手ハウスメーカーはしっかりと価格転嫁をしています。

なんとか価格転嫁をギリギリまでに抑えて頑張ってきた工務店ですが、上記の負のスパイラルに陥ってしまうことは避けなければなりません。

スペックを落として原価を下げるのではなく、スペックを維持またはスペックを上げて競争力を上げなければなりません。

 

この先、住宅価格は下がるのか?

「ウッドショック、ウクライナショック、円安ショックが落ち着いたら住宅価格は下がりますか?」という質問をいただくことも多くあります。

残念ながら、この先に住宅価格が下がることはありません。

我慢してきた住宅会社もこの先は建設費を上げなければ、負のスパイラルに陥ってこの世から消え去る運命となってしまいます。

 

ということで、この先は「住宅価格は上がる」ことになります。

「いつが建て時か?」と聞かれれば「今です」とお答えしています。

 

これから人件費も上がり、来年の春には、建築基準法の大改正も待っています。

住宅の建設費が上がる情報しか持ち合わせていません。

さらに金利も確実に上がります。

金利が上がりそうで、まだ足踏みしている状態の今こそが「住宅を建てる最適時期」と言えるでしょう。

 

もちろん3年前には、ここまで住宅の建設費や土地の価格は高くありませんでした。

「そのころに建てておけばよかった」と思われている方も多いと思います。

しかし過去を羨ましがっても何も解決しません。

 

未来を見据えて、家づくりを進めていかなければなりません。

単にインフレ経済に入っただけのことです。

日本の経済全体が上向き、これから皆の給与もあがります。

 

これから家づくりを検討されている方の多くは、インフレ経済というものを知らない世代だと思います。

私もそうです。バブル崩壊後の超氷河期に就職活動していました。

 

インフレ経済下では、すべての価格がジワジワと上がる状況が続きます。

経済成長に合わせて、所得も増えていきます。

慣れないので不安しかないですが、慣れていくしかありません。

家づくりをご検討中の皆様、インフレ経済に早く慣れて、将来を見据えて一緒に頑張って参りましょう。

 

インフレ経済下での家づくり まとめ

近年、建築資材の価格が急激に上昇しているにもかかわらず、住宅価格が数%しか上昇していない「負のスパイラル」に陥っているというげんじょうがあります。

今後も住宅価格は下がることはなく、むしろ上昇が続くと予想できます。

そのため、住宅を建てるなら、今が最適な時期だと言えるでしょう。

日本はすでにインフレ経済に突入しており、価格上昇に対応しながら、未来を見すえた家づくりをしていくことが重要です。

インフレ経済に不慣れな世代も多いですが、不安を乗り越えてインフレ経済に順応いきましょう。


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