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温度と湿度を快適にする風の効果

本日は「温度と湿度と風の関係」のお話です。

近年では猛暑日が続くため、ジメジメ、ムシムシした毎日でウンザリするという方も多いですよね。

そんな中で、少しでも快適に過ごすためのポイントが風です。

風を有効活用することで快適に過ごせる効果があるため、今回のコラムでは、温度、湿度、風の関係をお伝えしていきたいと思います。

 

湿度が高く気温が低いときに大切なこと

 

2024年の夏は猛暑日が続いており、あすなろ建築工房のコンセプトハウス兼自宅の「六ッ川の家」も7月から小屋裏エアコンを24時間稼働させています。

7月に入るまでは日中の暑い時間はエアコンを運転し、就寝時は外気も25℃以下になるので、小屋裏エアコンの間欠運転で対応していました。

真夏は、全館空調の本領を発揮する季節です。

9月の中旬までは、小屋裏エアコンには24時間活躍してもらいます。

 

関東地方の梅雨明けは、7月第3週くらいになることが多いです。

梅雨時は、晴れると気温が上がる一方で、雨が続くと気温がグッと下がります。

世に言う「梅雨冷え」ですね。

この気温差がなかなか身体に堪える季節でもあります。

湿度が高くて、気温も低い時期には「再熱除湿」が必要となります。

六ッ川の家でも、湿度が高くて気温が上がらない日は「小屋裏エアコンで冷房」+「床下エアコンで暖房」で再熱除湿運転します。

 

4年前の温度湿度と比べてみる

過去の夏はどうだったんだろう、と思っていたら、4年前のFacebookの投稿が「思い出」に上がって来ていました。

そのときのブログが「体感温度」です。

再熱除湿するような低い気温ではなく、気温がそれなりに高くて湿度が異様に高い、4年前の7月4日の我が家の様子を投稿していました。

外気温が25.2℃で気温的には良いのですが、湿度が97%もあります!

絶対湿度だと20g/kgになります。

気温25℃、湿度97%の環境はかなり「ムシムシ」した感じで、汗は乾かず、ベトベトして不快な環境です。

 

厚生労働省パンフレットの4ページ目に、温度と湿度の関係での熱中症予防の指標があります。

25℃、97%の環境は熱中症の「厳重警戒」の環境に当てはまります。

 

「空気線図」快適ゾーンの図を見て頂きたいと思います。

(引用:https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZZO9103059027082015000000-PN1-7.jpg?s=1982e53f9dd29c6edc332f09aebcef01)

 

「Clo0.5における快適ゾーン」によると、25℃の気温で快適ゾーンに入るのは、相対湿度が60%かつ絶対湿度で12g/kg以下の範囲となります。

ちなみに「Clo」とは着衣量を指し、数字が大きいほど厚着、小さいほど薄着という尺度です。Clo0.5とは寝巻姿くらいの着衣量となります。

「Clo」について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。 

 

「空気線図」快適ゾーンの図を参考にすると、「25℃、97%」の環境は決して快適とは言えません。

けれど、ブログ内には「外気でハンモックに揺られるにはちょうど良い感じでした」と書いています。

快適なのでハンモックの上の居心地が良くて、ハンモックは妻と次女に盗られています。

 

快適さの秘密は風にあり

ブログにも書いた通り、その理由は「程よい風」です。

 

体感の温度は、温熱の6要素が関わっています。

①温度

②湿度

③気流

④輻射(放射)

⑤活動量(代謝量)

⑥着衣量

 

体感温度(人間の肌が感じる温度)は気温だけでなく、湿度によっても左右されます。

皮膚の水分が蒸発することで、表面の熱が奪われることにより、実際の気温よりも涼しく感じたり、逆に風が無かったりすると実際の気温よりも高く感じたりします。

人間は、湿度を感じる感覚は持ち合わせていないので、この皮膚からの蒸発具合で、湿度を間接的に感じています。

 

25°Cという快適な気温でも、湿度が高ければ不快に感じますが、4年前の7月4日は97%というかなりの高湿度な環境でも快適でした。

その理由は「風」の存在です。

世間一般的に「風速が1メートル増すごとに体感温度は1℃下がる」と言われています。

上記のブログで書いている夜もそれなりの風が吹いていました。

おそらく3~4m/sのちょっと強めの風が吹いていたと思います。

気温が25℃で湿度が100%近くても、風が吹いていることで、肌の汗も瞬時に乾き、ハンモックに揺られて気持ちよく過ごせていたのでしょう。

ただし、風が止むと瞬時に蒸し暑く感じてしまうため、注意が必要です。

 

体感温度を知りたいなら

風が加わると、体感温度や快適さが変わるため、風速を加えた体感温度を知りたい場合は、

ミスナールの計算式で求められます。

カシオのホームぺージで簡易計算してくれます2

「25℃、97%」では風がないと26℃の体感温度ですが、4m/sの風が吹くと20℃の体感温度に変わります。

 

もっと詳細に検討したいという方は、「CBE温熱快適ツール」というサイトが便利です。

英語のサイトですが、日本語選択すると日本語で使えます。

運動量や着衣量も加味して、快適か不快か判断されますよ。

 

このように、「快適さ」は個人差もありますが、ある程度、科学として分析することが可能です。

 

風の効果が意外に大きなことをご理解いただけたのではないでしょうか。

あすなろ建築工房で計画する家では、ダイニングの上部にシーリングファンを設置することが多くなります。

「ちょっと暑い」「ちょっと蒸すかも」と思うとき、シーリングファンで部屋の中にちょっと気流を作ってあげることで、快適に過ごしていただくことが可能になります。

 

室温30℃、湿度80%で無風だと体感温度は29℃ですが、1m/sの風が吹くと体感温度は27℃まで下がります。

なんとか、冷房無しでも過ごせる環境にもなります。

1m/sの風を発生させるには、扇風機のような局所的な風ではダメです。

シーリングファンのような大きな羽で、部屋全体に気流を起こせるくらいのゆったりとした大きな風でないと、全身での体感温度には繋がりません。

そして、上記のような「風」で体感温度を下げている場合には皮膚から発汗して体温調整をしていますので、こまめに水分を取ることをお忘れなく。

 

まとめ

人が快適に感じるには「温度と湿度と風」の絶妙なバランスがあることについてご理解いただけたものと思います。

このバランスを意識して生活することで、冷房設備に頼らずとも「快適」に過ごすことも可能になります。

これからの時代、ますます猛暑になることが予想されますので、風の力を覚えておくなど、できることから工夫していきましょう。

 


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