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居心地のいい家を作るためには「見えない収納」が重要

コロナウイルスの流行から、在宅ワークなどの環境が増え、家で過ごす時間が従来よりも多くなり、「家の居心地」の重要性を改めて感じている方も多いと思います。当社のモデルハウスに訪れる方から、くつろげるという声を頂きますが、居心地のいい家にするには秘訣があるのです。

そこで「落ち着ける家にする秘訣」を話したいと思います。高級ホテルの考え方を生かすと、居心地がよく、くつろげる空間になりますよ。

居心地のいい家を維持するには「ものの住所」が重要!

当社では、社長である私の自宅である「六ツ川の家」はモデルハウスを兼ねています。

見学にいらしたお客様から「この整理された環境を維持するのは大変ではないですか?」とご質問を受けることがあります。しかし、それほど大変ではないのです。

見学にお越し頂く前には、数時間かけての掃除はしています。窓ガラスを吹いたり、トイレを掃除したり、浴室を掃除したり、通常のお掃除をいつもより丁寧にするだけです。

清掃はしますが、わざわざ「片付け」はしません。「片付け」が少ないところが「家の居心地」に大きく関係しています。

リビングソファの上に載せられたリモコンや雑誌、ダイニングテーブルの上に置かれた文房具や新聞紙、洗面所の棚の歯ブラシや整髪料、家の中には代償さまざまなモノがあります。

細かなモノを片付ける作業が大変ですが、「六ツ川の家」ではそれぞれのモノに住所があり、そこに収納できます。

片付けの方法については、親しくさせて頂いている先輩方の書籍に詳しく書かれており、私も設計の際には取り入れさせて頂いています。

・「住まいの解剖図鑑」増田奏著

・「片づけの解剖図鑑」鈴木信弘著

・「いつまでも美しく暮らす収納のルール」水越美枝子著

片付けの基本が分かるため、これらの書籍はおすすめですよ。

先輩方から習ったこれらのテクニックの他に私が常に考えていることは「ホテルの理論」です。

居心地のいい家はホテルを参考にする

住宅の設計の仕事に携わる前、私は大手設計事務所で五つ星ホテルの設計に長く携わっておりました。東京駅前にある「フォーシーズンズホテル丸の内東京」、東京ミッドタウン内の「ザ・リッツ・カールトン東京」のローカルアーキテクトの立場でした。

高級と呼ばれるホテルの客室ってなぜか落ち着きますよね。「調度品がよい」「座り心地のよいソファ」「寝心地のよいベッド」も一因ですが、本当の理由は「くつろぐことに特化した空間」になっていることです。

私は「必要ないものが見えるとくつろげない」と考えており、それを独自で「ホテルの理論」と呼んでいます。くつろぐためには、くつろぐためのもの以外が見えてはダメなのです。

ホテルでは「くつろぐ場所から、くつろぎを阻害するものは見えない」よう、検討を重ねながら設計が進められています。高級ホテルの客室は、くつろぎを追及した空間づくりが特徴です。

モックアップと呼ばれる実際と同じ大きさでのモデルルームを作り、テーブルや椅子などの家具類を入れて、ソファやベッドからの見え方などを細かくチェックしています。

とにかく「くつろぐ」ことをとことん追求し、見え方をチェックしてタオル置き場や空調の吹き出し口が見えない配置を検討したり、テーブルの艶までこだわったりします。

ビジネスホテルとの違いは顕著で、高級ホテルはとことん「くつろぐ」ために検討された空間なのです。

滞在時間の違いはあれど、基本的に高級ホテルも住宅と同じ「居住の場」です。高級ホテルの客室にもリネン、食器やゴミ箱、ランドリーのボックスもあります。

高級ホテルと住宅の違いはその置き方にあります。ホテルでは、くつろぎに必要なもの以外は客室ではなく、扉を隔てたリネン庫やパントリーに整然と置かれています。

もし客室内にあったとしても、上手に存在が隠されています。探している人には見つけられますが、用のない人には分からないように上手に隠してあるのです。

「片付けの場所」があれば、くつろぎの空間ができる

くつろぐためには、住宅でも同じことが言えます。くつろぐ場所であるダイニングやリビング、主寝室はホテルの客室と同じです。ダイニングやリビング、主寝室に洗濯物やストック類、ゴミ集積物などが見えていては、くつろぐことはできません。

帰ってきてからの食事の時間や団らんの時間は、少しの時間であってもゆっくりとくつろぎたいものですよね。ですが、ソファの上に洗濯物の山やダイニングテーブルのプリントの山を見たら、気になってくつろぐこともできません。

日常のものを見せないため、片付けの場所が必要です。家を建てる際、次のようにすると見せない収納が実現できますね。

  • キッチンの裏にパントリーを配置
  • 階段下の収納
  • 家事室にリネン収納
  • 洗面所の鏡裏のメディシンボックスを配置
  • ダイニングテーブル脇にダイニング収納
  • 畳小上がり下のムカデ収納

特に「キッチンの裏の見えない部分に配置したパントリー」と「家事室のリネン収納」は有効です。家のゴチャついたモノを高密に収納できる空間を確保しておくと、高級ホテルのリネン庫に該当する収納ができますよ。

急なお客様がいらっしゃるときには、この空間に散らかっていたモノたちを押し込む感じです。

子供たちが学校から持ち帰ったプリント類もパントリーにあります。必要なプリントはダイニングやキッチンに貼るのではなく、パントリー内のママデスクの壁に貼ります。

パントリー内はどんなに散らかっていてもいいのです。居心地のいい家にするためには、散らかしてよい場所、散らかさない場所の両方を作るのが秘訣と言えましょう。

家じゅうすべてをキレイにすることは大変ですが、「散らかしてよい場所」があれば、気も楽になるため、家づくりの際に検討しておくことが大事です。

また収納についても、さまざまなテクニックがあります。

  • 使う場所の近くに収納する
  • 使ったらすぐにしまえる場所をつくる
  • 子供にもしまえる簡単さ
  • 急な来客時に押し込めて隠せる
  • 見せてもよいデザインのものにする

まとめ

くつろぐための住宅では、さまざまなモノが散乱しがちです。在宅時間が長くなるにつれてモノも増え、余計にくつろげない方もいるでしょう。

高級ホテルでは、くつろぐために余計なものは徹底的に目に入らないよう計算しています。少しでも必要ないものが目に入ると、くつろぎが遠くなるためです。

これから家を建てたいと考えている方は、住宅の見えない場所に収納を事前に作っておくと、家でゆったりくつろげますよ。収納やくつろぐための居心地のいい家をご検討の際は、ぜひ一度ご相談してみてくださいね。


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