マイホームを手放す理由はなんとカビ!?
最近、建売住宅やローコスト住宅に住むと将来どうなるのか、お話しさせて頂く機会が多くなっています。
皆様からも実際の体験談をお寄せ頂く事が増えました。
建売住宅、中古住宅をリフォームしてお住まいだった方から「最終的にその家は湿気、カビがひどすぎて手放した。」との体験談もお伺いしました。
結局、マイホームを手放す理由になるのは実はカビであることをご存じだったでしょうか?
今回はマイホームを手放す理由はカビであること、ローコスト住宅ではどのようにカビと戦わなければならないのかについて、詳しくお伝えしていきます。
マイホームを手放す理由はカビ!
マイホームを手放す理由はカビであるとお伝えしましたが、まずは実際にカビで自宅を手放した体験談をご紹介させて頂きます。
事例1
14年前に建築条件付土地を購入して建売に近いクオリティの家を建てました。収納に困るだけでなく、夏暑くて冬寒い住宅で、結露もカビも多数でした。気が付くと靴やバッグはカビだらけです。夏は暑くて冬は寒いため、家には居られませんでした。
現在は、売りに出しています。(新たに注文住宅を別の土地に建てて居住済み) |
事例2
結婚し、親の建てた築30年越えの家の一部と仕事場を床断熱リフォームして住みました。リビングの壁天井は付加して珪藻土で仕上げましたが、壁天井に断熱は入っていないため、入り隅中心にカビが発生。家の温度差で湿気がこもるため、除湿剤は必須アイテムでした。
湿度ムラがありすぎて、さまざまな問題が起きてしまい、10年経つと家を捨てたくなりました。 現在はその家は手放し、新しく建設した快適な住宅に住んでいます。 |
そうなんです。実際の声から分かるように、性能が低い家で悩ましいのが「カビ」です。
カビとの戦いを避けられず、その戦いに打ち勝つことできずに結局マイホームでの生活を諦めることになってしまうのです。
マイホームにカビが発生する理由
マイホームにカビが発生する理由はいったいなんでしょうか。くわしく解説しますね。
カビ菌は20〜40℃の温度で繁殖します。特に人間にとって快適とされる25〜28℃はカビが発生するリスクが高まります。
湿度も大きく関係しており、湿度60%以上から活発に生え始めて、80%を越すと爆発的に増えます。
室温を25〜28℃から外すことはしたくはありませんから、結局は湿度をコントロールする必要があります。
お住まいの立地条件にも寄りますが、基本的に日本の夏は多湿となります。
高湿な時期に外気を入れれば、当然カビが生える場所が生じてきます。
ちなみにこの「カビが生える条件」は、建売住宅やローコスト住宅に限った話ではありません。
我々が手掛ける家でも共通した話で、夏の高湿な時期は外気が入ってしまうとカビが増殖する環境は同じとなります。
換気と空調で管理しなければ、カビの発生は避けられません。
外気が乾燥する冬期も油断は禁物です。
カビの原因となる結露は、温度と湿度の関係で起こる物理現象のため、ここをしっかり見据えて対処する必要があります。
換気をすると寒いといって換気をしないと、室内の湿度が高くなりすぎて外壁と屋根の入角部分などの弱い所で結露が生じてしまいます。
室内でガスストーブや石油ストーブなどの燃焼系暖房器具を使用すると、いろいろなところで結露が生じます。
室内干しにも注意が必要です。
これらの注意を怠ると、さまざまな場所で結露が生じてしまい、それを放置するとすぐにカビが生え始めるのです。
カビの発生は、美観の悪さ、臭いだけではなく、アレルギー症状や感染症を引き起こします。
マイホームでカビを発生させないためには
上記のように、日本ではカビが発生しやすいため、カビを発生させない予防が重要です。
特に、低性能なお家でカビが発生しないようにするには、「カビが発生するようなよどみを生じさせない」「こまめに掃除する」「こまめに換気する」「なにかしらの除湿をする」などの対策が必要となります。
カビを発生させないためには、「カビが生じるような空気がよどむ空間をつくらない」ことが一番です。
「クローゼットの扉を開けておく」「荷物を詰め込み過ぎない」などの対策が必要ですが、そもそも狭小住宅では収納力が足りていないので、なかなか難しいでしょう。
そのため「カビたら拭きとる」など、こまめに掃除することになります。
こまめに掃除をして、カビの栄養となるホコリや汚れを取り除く必要があるのです。
ですが、その分家事が増えてしまうため、なかなか掃除を徹底するのも大変ですよね。
カビが生じるのは、モノの陰に隠れた部分が多いので、モノを移動させながらの掃除となり、相当な労力となります。
さらにカビを発生させないために重要なのが、湿度を下げる工夫です。
外気温と外気湿度をチェックしながら、窓を開けたり窓を閉めたりして換気をする必要があります。
湿度の高くなる浴室や台所では換気扇を回してしっかりと湿気を外に排出しましょう。
または除湿剤を置く、除湿器を運転して全部屋に行き渡らせるなど、湿度を下げる作業が必要になります。
ちなみに除湿剤ですが、使う場所に注意が必要です。効果を発揮するのは「密閉された限られた狭い空間」なのです。
カメラなどを保存する保存庫などには有効ですが、押し入れやクローゼットレベルとなると相当こまめに取り換えしなければなりません。
湿った空気が供給され続けるような環境ではすぐに満杯になってしまいます。
家全体で考えると湿度のピーク時には1時間あたり8kg、つまり8リットルもの水分を取り除く必要が出てきます。
一般的な除湿量はひとつで500mlくらいなので、家全体の除湿をしようとすると、1時間に16個も必要です。
1日で考えると100個以上必要になるため、現実的ではありませんよね。
自然素材の家はカビの発生リスクを抑えられる
ここまでお伝えしたように、カビの発生を抑えるためには日常生活における工夫や手間が必要になります。
建売住宅やローコスト住宅の場合は、室内の全体がビニルクロスやシート合板などで包まれており、湿度を調整する機能が内装材にはありません。
一方、自然素材で作られた家は、床のフローリングや壁の漆喰や天井の木板などが吸放湿し、家全体で調湿できるため、カビの発生リスクを抑えられます。
家の空気環境の変化をなだらかな変化にしてくれるのが、吸放湿性能のある自然素材で仕上げる一番のメリットと思います。
ビニルクロスで覆われた室内環境においては、「カビを生やさない」のは大変なことです。
建売住宅やローコスト住宅の場合は、「カビを生やさない」コントロールが難しく、結果として家を手放すことになっているようです。
そして苦い教訓を活かして、次のお家を手に入れる際にはかなり勉強されて、性能重視のお家を手に入れられている方が多いと感じます。
ただ建て替えたり、住み替えたりできる方はよいですが、できない場合は「我慢」しながら住み続けることになります。
それでは当然ながら、家に愛着を持つことはできないでしょう。
愛していないので、大事にもしなくなり、メンテナンスもなおざりになります。
そうなると30年も住めなくなってしまい、結局は建て替え、住み替えが必要になり、生涯コストで考えると結果として割高になってしまうのです。
皆様には、生涯コストも考えながら住宅を検討していただきたいと思います。
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