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インフレ経済下での持ち家の考え方

以前のコラムで「インフレ経済下での家づくり」のお話をしたところ、多くの反響をいただきました。

感想の一部をご紹介しますね。

・インフレなのか。スタグフレーション状態が続くと思っていました。

・インフレ経済、冷静に考えればメリットが大きいですよね。

物価上昇の中にあるのに低金利で住宅ローンを借りられるため、そのローン残高は実質的に勝手に減っていくので、まさに家の買い時は『今』ですね。

・『いつ価格が下がるのか』を考えてばかりいました。

待っていては機会を逃してしまうということなんですね。

皆さま、インフレ経済に突入しているという感覚を少なからずお持ちになっているようです。

今回は、インフレ経済下における持ち家の考え方をくわしく解説しますね。

アメリカの持ち家事情

アメリカはステータスに合わせて住み替えしていく文化があります。

ゲームのすごろくに例えることもできます。

結婚して「スターターハウス」と呼ばれる若夫婦用の家を購入し、子供が出来たら大きな家に住み替えるのです。

スターターハウスは購入時よりも高く売却して、新しく購入した住宅の頭金にします。

大きな家で子供を育てた後、子供が出て行って夫婦二人の生活になると、タウンハウスと呼ばれる小さめのお家に住み替えします。

この時の売却益での差額が老後の資産になります。

購入した価格よりも高く売ることができるため、住み替えが可能なんですね。

これがアメリカでの住宅すごろくの概要です。

インフレ経済下では、アメリカのように住宅に価値を持たせることが可能になります。

もちろん自宅を「高く売る」ために、自宅を大事にして日々しっかりメンテナンスして、価値が下がらないようにする努力は必要です。

デフレ時代の住宅事情

これからも日本の住宅事情はインフレとともに変化してくるでしょう。これまでの日本の住宅事情は、残念ながら「住宅貧乏」と呼べるものでした。

アメリカのGDPは過去100年間上がっています。

一方、日本はこの30年間はほぼ横ばいで、経済が成長していない状態でした。

残念ながら、日本の住宅は人が住んだ時点で建物の価格は半減してしまい、そこからどんどん価値は下がり、30年で価値はゼロになっています。

「住宅貧乏」とも呼ばれていましたよね。

住宅を建ててローンで苦しみ、アップアップの生活をされている方も多くいらっしゃいました。

しかしそれは、金利がまだ高かった時代に低性能な住宅を建てられた人たちです。

デフレ経済下で、しかも低性能な住宅を建ててしまったからに他なりません。

家を建てたらそこから価値が目減りしていく時代でした。

インフレ経済下での住宅の考え方

低性能な家を建てて、価値が目減りしていく状況を終わらせないと、日本はいつまでも豊かになりません。

若い夫婦が「所得に合わせて」建売住宅やローコスト住宅を買ってしまうことを止めさせないといけません。

予算が許す限り、次世代でも通用する性能を保有した住宅を建てて欲しいと切に願っています。

建設材料は価格の転嫁が遅い商品と言えます。

野菜のように季節や気候変動に応じて上がり下がりするものではないのです。

デフレ経済下であれば、価格も下がることもあるとは思いますが、現在のようなインフレ経済では下がることはままありません。

建材価格の推移をみても、この20年間では右肩上がりです。

大手のゼネコンやハウスメーカーの大学卒初任給が2024年現在では、28万円になっています。

現在は新卒社員の給与や春闘がある大手企業の給与が上がっている状態のため、これから中小企業や官公庁の給与も上がってきます。

当然ながら、職人を始めとする個人事業主の所得も上がります。

現在は建材価格が高くなっている分、建設価格が上昇している状態です。

今後は、人件費高騰のため、さらに建設価格は上がっていきます。

繰り返しますが、現在はインフレなのに低金利なのです。

こんな時代はそう長くは続きはしませんので、まさに今が買い時なんです。

きちんとメンテナンスすれば、50年だろうと70年、100年だろうと、住み続けられる家を建てることができる時代なんです。

しかも低金利で!

「モノを持っているとそのモノの価値が上がっていく」のがインフレの状態です。

インフレの時代は「モノを持っていることが価値、つまりは資産」です。

「自分の家を持っている」こと自体、資産が増えていくことと同じ意味を持ちます。

インフレ経済であることを認めて、早いところインフレ経済に慣れなければなりません。

インフレ経済に慣れた人から、正しい判断ができるようになっていくと思います。

こんな時代だからこそ、視野を広く持って、正しく判断していただければと思います。

まとめ

現在の日本はインフレ経済となっています。

これまでのデフレ経済下では、低品質の住宅を高金利で建てるという選択肢しかありませんでした。

ですが、今の日本であれば、高品質な住宅を低金利で、が可能なのです。

インフレ経済下では、モノを持っていることが資産となります。

自分の家が資産になる時代が到来したため、視野を広く持って正しい判断をしていくことがより重要になっていきますよ。


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