家づくり

トイレの床に水漏れがじわじわ!便器の故障ではなく生活習慣が原因かも

家づくりに欠かせないのはトイレです。生活していれば、一日に数回は必ずお世話になるため、ないがしろにすることはできません。

トイレも時代に合わせて進化しており、以前には考えられなかった不具合が生じることがあります。お客様からトイレの床にじわじわ水漏れするという相談を頂くこともあります。

便器と床の間のトイレの水漏れは、すぐに修理が必要な事態であることは多くありません。記事の中でくわしく解説します。現代の家づくりにおけるトイレでの注意点もお伝えしますね。

トイレの床からじわじわ水漏れがある!本当の原因は

現在の洋式トイレは、便器の縁が掃除しやすいようにフラットになっているデザインが増えています。実は便器のデザインが、トイレの床のじわじわ水漏れの原因になっていることもあるのです。

お客様から「便器から水漏れしている。便器が割れているのだろうか。」と連絡を頂くことが時折あります。お伺いすると、便器と床フローリングが接する先端の部分がしっとりと濡れている感じです。

実は便器が割れたりヒビが入って水漏れする例はほとんどなく、当社では過去に一度も経験がありません。

もしも水が漏れる場合には、先端でなく裏側の方であり、床面ではなく床下に漏れます。よって床面が湿っている場合は、便器の不具合ではありません。

では原因はというと、「尿がこぼれている」「お尻洗浄水こぼれ」のどちらかです。

トイレの水漏れ原因①排尿こぼれ

「我が家では誰も立って使用していないので、便器から漏れていると思います」とお話されるのですが、立って使用しても尿は便器の外に漏れます。

座って排尿した場合、以前のように縁に折り返しがあった場合には、そこで跳ね返して外に漏れることはありませんでした。

しかし現在の便器には折り返しがないため、縁の部分を乗り越えて、便器の外側に尿がこぼれ出てしまいます。

特に小さなお子様がいる家では注意が必要です。小さなお子様は性別関係なく、大人が想像している以上に勢いよく排尿しています。

「便器から水が漏れている」方は、排尿の飛び出しを疑ってみてください。

トイレの水漏れ原因②洗浄便座の跳ね上げ

トイレの水漏れの原因として、洗浄便座の水量も要注意です。

洗浄便座の水量を強くしてお尻に刺激を求める方も多いようですが、思っている以上に便器と便座の間にまで跳ね上がってしまいます。

この跳ね上げされた水が縁を超えて床面に垂れてしまっています。

「便器の床面がじわっと濡れている」場合には、便器の側面に光を当てて観察してみてください。

おそらく尿や洗浄水が垂れた跡があると思います。まずは排尿の飛び出し、洗浄水の跳ね上げに対処してみましょう。

洋式トイレも時代に合わせて変化している

洋式トイレが普及してきてから、この20年~30年で様式が変わって来ています。

一つ目が「お掃除しやすくなっていること」です。

便器の縁の折り返しの部分に水垢が溜まりやすく、1週間もすると水垢が赤くなってきますね。拭き掃除をしないと黒くて得体のしれないものがこびりついてしまいます。

便器の縁の使い勝手を改善させるため、最近の便器は洗浄時に水流を回転させて流すようにして、縁がフラットになってお掃除がしやすくなっています。

この造りがトイレのじわじわとした水漏れが生じる原因にもなっていますので、使用時は注意しましょう。

次は「座面が高くなっている」です。日本人の体形の変化によるものですが、座面が2~3cmくらい高くなっています。

古い住宅などにお住まいだった方が便器を交換したり、新築に住み替えされたりすると、座面が高いと感じるようです。これは「慣れ」によるものなので、1週間くらいすると次第に慣れてきます。

三つ目のトイレの変化は「排水量が少なくなっている」です。

現在販売されている便器の多くは、大洗浄で4L~5Lという使用水量で設計されています。30年位前に普及していた洋式便器は13Lの排水量でした。節水の意識が高まりに合わせて年々水量が少なくなり、以前の1/3以下まで水量が減ってきました。

節水型の便器で排水するのはあくまで「便器のトラップを超えられる」という最低水量です。そのため、排水管の中の様子のことまでは考えていないものです。

排便時は水量に注意が必要

昔、大学時代に設備の授業で衛生設備の最適水量の授業がありました。

ゴムで作られた便である模擬汚物とトイレットペーパーを実験室の透明の配管で流し、水量によって、模擬汚物を排水管の何m先まで流すことができるかという実験です。

水量が少ないと汚物は排水管の途中で止まってしまいます。

水量が少なく排水管の途中で止まった場合、次の汚物も流れてくると3回くらいで完全に詰まってしまい、最後の汚物は便器から排出されなくなります。

節水型のトイレを使用している実際のお家でも、水量不足で詰まるという事象が頻発しています。

マンションはトイレのすぐ近くに縦配管があって、水量が少なくてもしっかりと排水できます。マンションにお住まいの方は、水量が少なくても不具合が起きないため、洗浄レバーを「大」ではなく「小」で流す方も多いようです。

マンション時代と同じように新居に移ってからも「小」で流し続け、詰まらせてしまう方が実は多いのです。

一戸建ての場合には、汚水の横引き配管がどうしても長くなります。敷地の最終桝のその先の道路の共同汚水管に流すまでには距離があります。トイレで用を足したあとは、十分な水量で流すように気を付けてください。

居心地のよいトイレとは

昔はトイレは「用を足す」だけが用途であったのですが、近年は水洗化と洋式化で衛生的になったこともあり、トイレでの滞在時間が長くなってきている方が多いです。

トイレで本を読んだり、携帯で動画を見たりするため、居心地を重視することも重要になってきます。手洗い器は別置きにし、飾り棚や本棚を設け、窓先には緑を配置したりといろいろと工夫をして設計しています。

可能であればタンクとは別に手洗いを設置

手洗い器とタンク一体型の便器が世の中的には一般的ですが、可能であれば、別置きの手洗い器を設置することをおすすめしています。

タンク一体型手洗い器だと手を洗った後にそこで水を払い、タオル掛けのタオルに移動するまでに雫が垂れて、壁や床を汚すことになります。

タンクの手洗いを別置きする方が衛生的ですし、手入れも楽になると考えています。また「トイレに窓は要らない」との説もありますが、私は可能であれば窓はあった方がよいと思います。

最近多用しているのが、斜め配置のトイレです。

斜め配置のメリットは多数あります。

・通常の1畳のトイレと同じ面積だけど広がりを感じられる

・便器の両脇に棚ができるため、手すりが不要になる

・使いやすい位置に収納を設置できる

・飾り棚を設置できる

・囲まれている感じがあり、落ち着く

・すべてのものに手が届いて機能的

・入り口を引き戸にできる

デメリットは「設計プランにハマりにくい」ことです。奥行と幅が1365mm(4尺5寸)という寸法になり、モジュールが他の要素に合わないので、設計プランをする際に熟練度が必要になります。

ローシルエットのトイレですっきりと

トイレのタンクは大きいため、そのままだと「ここはトイレ」という主張が強くなりがちです。タンクレストイレが流行っているのは、いかにもトイレという空間にしたくない人が多いためだと思います。

私個人としては、タンクレストイレは家電なので長持ちしないため、逆に使わないようにしています。実際におすすめしているのは、ローシルエットタイプのタンク式のトイレとなります。

ローシルエットのトイレは、タンクレスのような電気駆動ではなく、昔ながらの手動での排水となるので、災害時などにも使えます。タンクが低く、タンクの上の部分に頭を入れて清掃ができ、便器の後ろの空間のお掃除もしやすいです。

タンクの存在感がないため、トイレがスッキリした感じになります。トイレは毎日必ず使う場所であるため、家づくりの際は不具合が出にくく、居心地がよいことを重視するとよいでしょう。


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