設計

カーテンを閉めっぱなしにしない家づくり

私は通勤時、ときどきランニングしながら通勤しています。ランニング中は、道中に建っている家の様子が目に入るのですが、気になることがあります。

それは「カーテンを閉めっぱなしの家が多い」ことです。つまり、ランニングしている道路や近隣の窓から家の中が丸見えになっている家が多いと言えます。

開放的な家を作るには、カーテンが閉めっぱなしにならないよう、外からの目線が気にならない家を作る必要があります。

今回は、カーテンを閉めっぱなしにしないための家づくりについて解説しますね。

カーテンを閉めっぱなしにはデメリットがある

カーテンを閉めっぱなしにするにはさまざまな理由があるでしょう。家の窓から内部を見られたくない、紫外線を防止したい、騒音が気になる、などが主な理由と言えます。

しかしカーテンを閉めっぱなしにすると、次のようなデメリットもあるのです。

  • 結露でカビが繁殖しやすい
  • 日中でも電気をつけなければならない
  • 防犯上の危険
  • 気分が暗くなる
  • ペットや植物への悪影響

結露でカビが繁殖しやすい

カーテンを閉めっぱなしにしていると、結露で生じた水分によってカビの繁殖が進みやすくなります。ずっと閉めっぱなしにはせず、時々チェックしましょう。

日中でも電気をつけなければならない

カーテンを開けないと自然な日光が入らず、日中でも電気代がかかります。光熱費の高騰が続く時期には、もったいないですね。

冬場であれば、日光が入ることで室温が上がりやすいのですが、カーテンを閉めっぱなしにしていると暖房費も高くなってしまいます。

防犯上の危険

ずっとカーテンが閉まっていると、空き巣に「いつも不在の家」と狙われやすくなるリスクがあります。万が一空き巣に入られた時も、カーテンが閉まっていると外からは様子が分からず、危険性が高くなるでしょう。

気分が暗くなる

日光には、気分を上向かせる効果があります。カーテンを閉めっぱなしにすると、日光を浴びることがなく、鬱々とした気分になりがちです。気持ちを整えるためにも、カーテンは時おり開ける方が望ましいでしょう。

ペットや植物への悪影響

家でペットを飼っていたり、植物を育てていたりするのであれば、カーテンを開けないことで悪影響が生じます。日光が入らないと、ペットは紫外線の皮膚を殺菌する効果やビタミンDを吸収する効果が得られません。

植物の発育にも日光が必要ですが、カーテンを開けないと成長に問題が出てくるでしょう。大事なペットや植物のために、閉めっぱなしは避けたいですね。

カーテンを閉めっぱなしにしない家は快適

カーテンを閉めっぱなしにしていると、多くのデメリットがあります。気になっていても、外から見られてしまうのが気になり、仕方なくカーテンを閉めている家も多いでしょう。

隣から見られるため、カーテンは閉めっ放し。室内干しをする場所がなく、取り込んだ洗濯物をカーテンレールに掛けている家も見かけます。

どこの窓もカーテンが閉まっているか、曇りガラス(型ガラス)になっていて、家の外へ抜ける目線がありません。きっと窮屈な生活をされているのではないでしょうか。

現在お住まいの家で、外からの目線が気になり、カーテンやブラインドを閉めっ放しになっている窓はないでしょうか。

  • 隣の家の洗面所から見られてしまう
  • 裏の家のリビングから見られてしまう
  • 前の通りから見られてしまう
  • お迎えのアパートの廊下から見られてしまう

上記のように、気になるポイントはたくさんありますよね。新築を計画する場合には、「外部からの目線」をしっかりと調査して設計に反映させると、カーテンを閉め放しとならない窓だけで構成された開放的な家にできます。

どうしても窓を設ける必要があるけれど目線が気になる場所には、曇りガラス(型ガラス)にすることで、カーテンやブラインドを設置しないで済ませることも可能です。

リビングやダイニングなど家族が集まる広く感じたい場所は、カーテンを閉めずに生活すると快適度が変わります。

カーテンを開け放し、ウッドデッキや庭先を見通せることで、「窓の外まで自分の空間だ」と脳が認識し、領域を広く感じられるのです。

カーテンが閉めてあれば、当然その部屋にいるときは、空間は窓までの認識空間となり、領域を狭く感じてしまうことになります。

例えばこちらの写真をご覧ください。

窓にスクリーンや障子が開いている状態と閉まっている状態を比べてみた写真です。どちらの空間で過ごしたいと思いますか?

スクリーンが開いている状態と閉まっている状態では、後者の方が広々と感じ、居心地もよく感じると思います。

窓の先までが「自分の空間」と感じないでしょうか。広く感じたい時には開け放つことができ、閉じたい時には閉められる方がよいですよね。

設計の際には、目線を抜くことができる場所や方向を見抜き、目線を広く感じる空間を確保させることが重要です。

どんなに周りからの目線が厳しい場所でも、目隠しフェンスを立てたり、目隠し樹木を植えたりして、外部からの目線を切ることはできます。

リビングやダイニングだけでなく、洗面所やキッチンでも同じです。洗面所やキッチンからも緑が見えたりすると気持ちがいいですよね。

カーテンを閉めっぱなしにしない家づくりとは

いろいろなところに目線を抜いてあげるのが、広く感じられるコツです。どんな敷地条件でも、目隠しフェンスや目隠し樹木を作ると、カーテンを閉めっぱなしにしない窓にできます。

そのために外構工事や植栽工事は重要です。目隠しや植栽と一緒に間取りを考えなければ、開放的な家づくりは難しいでしょう。

まずは、敷地条件を読み込み、一番居心地の良い場所や目線の抜けを確保できる場所をリビングやダイニングにすることが大事です。

洗面所やキッチンも窓を安易に曇りガラス(型ガラス)にするのではなく、外部に目隠しフェンスや植栽を植え、透明ガラスにしてあげたいものです。

それを実現するにはどうしても設計の勘と経験が必要となります。

ぜひ、設計者さんと一緒に「居心地の良い場所はどこか」「目線が抜ける方向はどこか」を考えましょう。

閉鎖的にならずに開放的な空間とし、カーテンを閉め放しにしなくてよい生活を手に入れて欲しいと思います。


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