家づくり

駅近の土地が出回らない理由とは

家を建てるために必ず必要なのが土地ですが、ここ数年、駅近で土地を探す人はなかなか良い土地が見つからず、困っている人も多いのではないでしょうか。

建売住宅やローコスト住宅を得意とする建築会社が好調のようで、神奈川県内での住宅需要拡大に合わせて、2022年に大型のショールームを開設しています。

駅近の土地が出回らない理由には大手の建設会社も大きく関わっており、希望の家を建てるには土地探しのコツも必要になります。

今回は、駅近の土地がなぜ出回らないのか?その理由と土地探しのコツについてお話したいと思います。

駅近の土地が出回らない理由

関東地方で土地探しをしている人は必ず名前を知っている大手の建設会社があります。

テレビで多くのCMをしているため、認知度がかなり高いのですが、土地探しをしていると否応無しに大手の建設会社が立ちはだかってきます。

この数年、東京都内や横浜・川崎周辺では、駅から歩くことが出来る範囲の土地には「すべて」と言っていいほど、大手建設会社の建売住宅が建っています。

「あっ、この家解体するのか」と気が付いた数週間後には、大手建築会社の看板が立って、工事が始まっています。

それもそのはず、大手建築会社には大量の営業マンがおり、日々古い住宅を回っては「土地売りませんか?」と声を掛けているのです。

しかも「相場よりも高く買います」と声をかけているようで、買いあさり状態になっています。

手に入れた土地は2分割または3分割、もしくはそれ以上に分割され、そこにとても小さな建売を建てます。

「もうこれ以上小さくすると成立しない」というくらいまで土地は分割されます。

「とにかく土地を小さくして、土地にかかる価格を極限まで低くし、さらに仕様を落として極限まで安く作った住宅を建てる。そこに利益を載せて、土地建物セットで売る」これがビジネスモデルとなっています。

「マンションしか買えない」と思っていた若いファミリー層に「戸建が買える」と思わせるものです。

「土地を買って注文住宅を建てよう」と考える人たちにも「これしかないし、もうこれでいいじゃん」と思わせるに至っています。

建売を手掛ける業者みんながこのビジネスモデルを行っているため、業者間での土地の争奪戦になり、本当に土地が手に入りにくい状況が続いています。

業者間での争奪戦が行われた後に、一般の方が土地だけを探し求めても手に入る可能性はほとんどありません。

「徒歩圏のエリアを建売業者がすべて買い占める」というある意味寡占状態で、「建売でなければ、徒歩圏に家は持てない」という状態にもなっています。

この営業手法は当然真似をすることもできず、私たち工務店が食い込むこともできないので、ただ茫然と眺めているしかない状況です。

土地探しのコツは?

私がお手伝いさせて頂いて、土地を探す場合には「建売業者が買わない土地」を探すことになります。

「建売業者が買わない土地」とは、次の5つのような土地です。

  • 「駅から徒歩圏」から外れる
  • 変形敷地で設計がしにくい
  • 擁壁などが関係して設計がしにくい
  • 面積が大きいけど協定などで分割できない大きな土地
  • 道路に面していないなど、建設的に難がある土地

上記のようなある意味「癖のある土地」でないと「出回らない」、つまり土地だけでの流通がない状態になってしまっています。

駅近にこだわり過ぎず、視野を広げて土地を探すのがコツと言えるでしょう。

都内のマンションに比べると、床面積も広く、窓もたくさんある建売住宅は開放的に住めると思われるようで、建売住宅は「建てれば売れる」状況が長く続いています。

建売住宅の現場は乱立状態にあり、どこの駅でも駅から道をまっすぐ500mも歩けば、必ず一軒は建売住宅の工事をしているような状況です。

以前は駅から徒歩15分以内のエリアにしか建売住宅は建たなかったのですが、今は徒歩圏も「20分」まで拡大し、さらに20分以上のエリアにも建売住宅が広がってきています。

徒歩圏外となるエリアで開発される住宅団地は区画が広く、街路樹なども整備され、環境が重視された区画計画、街路計画がされていました。

しかし「とにかく安く販売する」というビジネスモデルが郊外にも使用されるようになり、「区画が小さくて、街路樹も無く、庭も無い殺風景な住宅地」ができ上りつつあります。

「とにかく安く」というコンセプトで作られていますので、外構に植栽を植えるペースは無く、街路樹もないので、無味乾燥した街並みとなっています。

リビングから見える眺めは、駐車場に停めた自家用車とその先に見えるお向かいの家の壁だけです。

子供たちが遊ぶ場所は庭ではなく、目の前の道路になります。

そして夜になると、家のシャッターは閉ざされ、通りは街路灯が照らすだけで、自家用車が並んだだけの本当に寂しい街並みとなります。

「ご近所づきあいは最低限」「庭木の手入れはしたくない」というニーズも根強いため、お住まいの方は満足されているのかもしれません。

まとめ

駅近の土地は大手の建設会社が購入し、分割して建売住宅を建ててしまうため、家づくりのための土地を探そうとしても難しいのが現状です。

希望の家を建てたいのであれば、多少癖のある土地を探すのがコツになります。

建売住宅でもなんら問題ないと考える人もいるかもしれませんが、ここ数年中古の築浅物件が増えていることを考えると、やはり簡単におすすめするのは難しいと言えるでしょう。

中古の築浅物件については「中古の築浅住宅は失敗する?買ったばかりの家を売る理由を解説」でくわしく解説しております。興味のある人は読んでみてくださいね。


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