設備

新築に実はいらない設備とは?

あすなろ建築工房では、新築のご計画の際に「住宅要望調査書」というアンケート用紙に、要望事項をご記入いただいています。

この調査書には、各室の仕様や設備などの要望事項をチェックする項目がいくつかあるのですが、その中の「浴室の鏡」にはかなりの確率で「〇」が付きます。

打合せの際に「それは本当に要りますか?」という話をよくしています。あるのが当然と思っている浴室の鏡ですが、実はいらない家も多いのです。

家づくりをする際には、浴室の鏡のように「実はいらない」ものが多数存在しています。

いらない物を省くと費用も安くなり、メンテナンスの手間も軽くなるので、新築で家を建てる際にはしっかり検討していただけるとメリットが大きいでしょう。

今回は新築に実はいらない設備と、どの家にもある設備がいらない理由を解説したいと思います。

浴室の鏡がいらない理由

要望書をご記入いただいた後に、ヒアリング形式で細かくお伺いし、「浴室の鏡」を何に使うのか聞いてみると、ほとんどの方から「実はあまり使っていない」という回答を頂きます。

実は使われていない鏡

「なぜ浴室に鏡が必要だと思ったか」を尋ねると、「あるのが普通だと思っていたから」という答えが返ってくることが多いです。

浴室の鏡の用途として考えられるのは、「ヒゲ剃り」「クレンジング(化粧落とし)」「ダイエット(自分の体形を確認)」などがあると思います。

「実際に浴室の鏡を見てますか?」と聞いてみると「そういえば見てないですね」という回答も多いです。

男性の場合、ヒゲ剃りをする場合の電気シェーバーとカミソリの比率は、6:4程度だそうです。

カミソリを使う人のうち、浴室でヒゲを剃っている人はそのうちの5割のため、結局浴室でヒゲを剃っている男性は全体の2割となります。

割合としては少ないと言えるのではないでしょうか。

女性の場合、クレンジングの場所は洗面所と浴室で5:5程度です。クレンジングを浴室で行う場合は「鏡を見てクレンジングはしていない」という人がほとんどです。

ヒゲ剃りやクレンジングで使用しないとなると、体型維持くらいしか鏡を設置する理由がありません。

定期的に鏡で体型を見ている人もいるでしょうが、必要ない家庭もありますよね。

浴室の鏡は掃除が大変

ご自宅の浴室の鏡は、水垢汚れで「ウロコ」状の跡が付いてしまっていませんでしょうか?

これは鏡に付いた水滴が乾燥する時に、水道水に含まれる塩素やカルシウムやマグネシウムなどが結晶化したものです。

一度跡が付くと、同じ場所で結晶化するため、ちょっと気を抜くと全面ウロコ状の跡が残ってしまいます。

ウロコ汚れも、最初はお湯を掛ければ何とかなりますが、日に日に見えにくくなり、そのうちお湯を掛けても何も見えなくなってしまいます。

浴室に鏡がある家でも、「鏡を見ていない(見ることができない)」家もとても多いと感じています。

一度ウロコ汚れが付いてしまうと、タワシでゴシゴシ磨いてもなかなか落とせるものではありません。

そして鏡の裏側も空気がよどむ部分なので、カビが生えやすい部分となります。鏡を外して掃除するのは難しいため、カビ増殖場にもなってしまいます。

ウロコ汚れと鏡周辺部は、浴室のお掃除で皆さんが「なんとかしたい」と思う部分でもあります。

浴室の鏡はなくても困らない

新築時には、鏡一枚とはいえ設置すれば5千円~1万円位はかかります。

「どうせ曇って見えないのであれば、必要な場合は100円ショップの鏡を持ち込めばよいのでは?」という話をすることもあります。

用途、掃除などの話をしてから「浴室に鏡は要りますか?」と改めて尋ねると「いりません」となることが多いです。

「家の中で当たり前にあるけど実は要らないもの」の浴室の鏡は多数あるうちの一つです。

住宅には、当たり前のように「あるのが当然」と思っているけど、実はそれほど大事ではない、不要なものというものが実は多いのです。

住宅には実は不要な設備がたくさん!

住宅に不要な設備は、「子供部屋の扉の鍵」や「洗面所のサーモスタット水洗」「トイレの窓の開閉」「勝手口」などです。人によってもさまざまですが、いろいろ出てきますよ。

子供部屋の鍵

子供部屋にわざわざ鍵をかけていますか?

子供にもプライバシーが必要という観点から必要と考える方も多いのですが、家族間のコミュニケーションや引きこもりといった懸念もあります。

逆に鍵を掛けなければならないほど、親に見せられないものとはなんでしょう?

子供とのコミュニケーションを密にし、親と子供との間にルールを決めておけば、必ずしも鍵が必要とは言えません。

あすなろ建築工房で設計するお家の場合、子供部屋の扉に鍵を付けることはほとんどありません。

サーモスタット水洗

洗面所のサーモスタット水洗を必要と考える人も多いです。

昔の給湯器は熱いお湯しか給湯できなかったため、水洗の部分でお湯と水を混ぜて適度な温度に下げる必要がありました。

最近の給湯器は設定温度を40℃に設定すると、給湯器側でしっかり40℃に合わせて給湯するため、水洗部分でお水を混ぜる必要はありません。

高価なサーモスタットを有した水洗でなくても、安いツーハンドルの水洗で十分にことが足ります。

開閉するトイレの窓

トイレは中で音がすることもあり、お隣との距離も近いお家も多いため、トイレの窓を開け閉めするようなことは少ないでしょう。

開け閉めしないのであれば、窓は光を取り入れる目的のために設置することになります。

最初から「はめ殺し」のFIX窓で十分ではないでしょうか。開閉装置がない分、価格も安価です。

勝手口

昔はキッチンの脇に勝手口があるのが当たり前でした。

キッチンは独立しており、家の南北でくつろぐスペースと家事のスペースが分断されており、勝手口は家事をするための裏口として利用されていたのです。

現在では生活スタイルが変わり、ダイニングと一体のキッチンになったり、ゴミの出し入れなど外への行き来が減ったりしたため、勝手口を設置することはまれになっています。

高気密高断熱住宅で不要なもの

他にも高気密高断熱住宅であれば、さまざまなものが不要になります。

  • 玄関と廊下の間の扉
  • トイレの暖房便座
  • バス暖房乾燥機
  • 各室のエアコン
  • 大きな押し入れ

家中どこでも暖かな空間になるので、トイレの便座をわざわざ暖めなくても、便座の温度は室温と同じになります。

もちろん体温である35℃と室温の22℃くらいの温度差はあるため、座った瞬間は一瞬ヒヤっとしますが、古いお家のように飛び跳ねてしまうようなことはありません。

洗浄便座を使わないご家庭であれば、普通の便座でも十分にことが足りるでしょう。

家全体が暖かいので、モコモコの部屋着もフカフカの羽毛布団も不要です。そうなれば大きな押し入れもいらなくなります。

廊下のコンセントも使っていないのではないでしょうか。

昔は掃除機はコード式だったため、各所にコンセントが必要でしたが、今はほとんどがロボット掃除機かコードレス掃除機になっています。

いらないものにお金を掛けて設置するのは、もったいないですよね。

まとめ

家にあって当然と思っているものでも、実はなくても良いものがたくさんあります。

洗面所の鏡、子供部屋の鍵、勝手口など、不要なものを省くと費用も手間も軽減されますよ。

是非、現在のお住まいを見渡してみて、使っていないものを探してみてください。

家づくりをこれから行っていく上でのヒントになると思います。

生活様式の変化、住宅の機能向上によって、これまで必要だったものが不要になっている点を考慮して家づくりをすると良いでしょう。


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