大工の人件費はどれくらいかかるの?
家づくりに欠かせないのが大工、職人さんですが、最近では、大工の人件費の高騰も話題になることが多く、自分の家を建てるときにどれくらいの金額がかかるのか、不安な方もいるかもしれません。
台風の中でも、家づくりの現場は動いており、大工や職人さんは雨に濡れながらも仕事をしてくれる存在です。
そこで今回は、雨や風、雪の日も炎天下の日も、黙々と仕事をする「現場で働く職人さんの人件費」の話をしたいと思います。
大工や職人さんの人件費の目安
コロナをきっかけに自宅勤務が多くなり、書斎の間仕切りを設置したいと思われる方が多いのか、小さなリフォーム工事のお問い合わせを多く頂くようになりました。
出来るだけ分かりやすく工事内容を捉えて頂くため、あすなろ建築工房では、「間仕切り工事一式〇〇円」などの「工事一式」の見積ではなく、「材料費」や「人件費」などと分けて詳細な見積をするようにしています。
人件費の表現方法
「人件費」は職人の場合は「手間代(てまだい)」とか「日当(にっとう)」と表現する場合もあります。意味はまったく同じです。
リフォーム工事などでは、作業が半日程度の場合もあったり、数日間の場合もあります。
その場合には「人工(にんく)計算」と呼ばれる見積となることが多いです。
「人工(にんく)」とは「作業する人の労働の日数」を表します。
「人工(にんく)」の前に数字を付けて、作業の日数を表す単位としても使われています。
例えば、間仕切り工事に一人の大工さんが4日間かかる場合には「4人工(にんく)」と表現されます。
大工さんが2人で2日間かかる場合も「2人工×2人=4人工」となります。
新築の場合も同じで、大工を含め職人の作業の見積は「人工」で計算します。
ちなみに新築の大工の手間代算出は、「坪当たりいくら」で計算する場合もあります。
これは一棟の木工事にかかる費用を坪面積で割って、算出しています。
元となる一棟の木工事の価格は、これまでの実績をもとに算出しています。
「見積では『4人工』だったのに、実際に作業は2人で1日しか居なかった」という場合もあり、いったいどうなっているのか疑問に思うこともあるかもしれませんね。
そのような場合は「加工作業」が作業場などで事前に行われています。
現地での作業をスムーズに行うため、作業場で事前に材料の加工などを行い、実際の現地での作業は1日となることもあるのです。
職人さんの手間代はいくらくらい?
人工と呼ばれる職人の手間代は、一体いくらくらいになるでしょうか?
職種にも寄りますが、少なくとも1日当たり2万5千円~3万5千円くらいです。この一年でも上昇しました。
地方に行くと安いのですが、東京や横浜エリアは、全国で人件費が一番高いエリアのため、上記の金額になります。
地方だと、住む土地や物価、駐車場代も安くなりますが、東京や横浜はすべてが高いので、おのずと人件費も高くなるのです。
ちなみに作業が「半日」となる場合も人工計算上は「1人工」となる場合があります。
基本的に職人さんには「1日いくら」でお支払いをするため、もし半日の作業だったとしても、残りの時間で他の仕事がなければ機会損失になってしまいます。
そのため、慣例上「1人工」と計上するのです。
半日仕事が二つあるような状況であれば、「0.5人工」ということもあります。
大工、職人の人件費は高いのか
これまでお話ししてきた、職人さんの1日あたりの人件費2万5千円~3万5千円を見て「高いな」と思ったりしますでしょうか?
私は決して高いとは思いません。
もし人件費が高いと思われたのであれば、皆さんの年収を労働日数で割ってみてください。
1年間は365日、これを週で割ると365÷7=52週となります。
週休二日の方は、お休みの日を数えると2日×52週=104日。
そして国民の祝日は年に16日あります。
その他、年末年始と夏季休日が4日ずつの企業が多いため、そのように考えましょう。
そして、有給休暇の取得の全国平均が18日です。
公務員の方はもっと多くなります。
以上から、1年間の休日の日数は、
104+16+4+4+18=146日となります。
よって労働日数は、
365-146=219日となりますね。
実際は会社のお休みや、祝日と日曜日に挟まれた休日などもあるため、労働日数はもっと少なくなります。
年収が仮に600万円の方の場合、
600万円÷219日=2.7万円となります。
会社勤めの場合は、社会保険は会社が半分負担されていたり、その他の福利厚生があったりします。
社宅や家賃補助、通勤手当など、会社員は年収以上に得ているものも多いでしょう。
ですが大工や職人さんの場合は、個人事業主の場合がほとんどで、手間代からそのような社会保険や福利厚生費用を払うことになります。
大工や職人さんは、ガソリン代や駐車場代、保険料や高速代や道具代も手間代から捻出する必要があるため、実質的には手にする金額はもっと少なくなります。
そう考えると、人件費1日あたり2万5千円~3万5千円とは、決して高くはない数字で、職人さんの手間代は意外に安いと思いませんか?
普通の人ならすぐ熱中症になってしまうような炎天下でも、真冬の凍えるような日にも、朝早くから夜遅くまで仕事をしてくれています。
冷房も暖房もない場所でもくもくと作業を続けてくれているのです。
ありがたいですよね。
皆さんのお家を建ててくれる大事な大事な人たちです。
この人たちの賃金を減らしてまで家づくりをしたいとは思わないのではないでしょうか。
まとめ
家づくりに欠かせない大工、職人さんの人件費は手間代、人件費、人工(にんく)と表現されます。
東京や横浜エリアだと、大工や職人さんは1日あたり2万5千円~3万5千円の人件費が発生します。
もしかしたら、その人件費を高いと感じる方もいるかもしれません。
会社員と違い、大工や職人さんは手間代の中から経費を捻出する必要があるため、決して高いとは言えないのです。
どんな天気の日にも皆さんの大事な家を黙々と建ててくれる大工さんは、本当にありがたい存在だと言えるでしょう。
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