自宅の耐震診断は自分でできる?
テレビのニュース番組では、耐震診断の必要性を伝える特集を見かけるようになりました。
自宅の耐震性能が気になっているという方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は耐震診断について解説していきます。
2024年限定になりますが、自分でできる耐震診断方法もご紹介致しますね。
木造住宅の耐震診断方法
木造住宅の耐震診断方法には、以下の3種類があります。
①誰でもできるわが家の耐震診断
②一般診断法
③精密診断法
①の「誰でもできるわが家の耐震診断」は、とっても簡易な耐震診断方法です。
正確な耐震性能を測るための診断ではなく「耐震への理解を深めるためのもの」と捉えた方が良いでしょう。
神奈川県ホームぺージの耐震診断問診表はダウンロードできるので、以下の項目をチェックしてみてください。
- 建てた時期
- いままでの災害経験
- 増築について
- 傷み具合や補修・改修について
- 建物の平面の形
- 大きな吹き抜けの有無
- 1階と2階の壁面の一致について
- 壁の配置のバランス
- 屋根葺材と壁の数
- 基礎について
10個の質問にYES-NOで答え、YESの数で簡易的に判断するものです。
ご覧になると分かるように、あくまで簡易の診断であり、どんな結果であっても診断の結果は「専門家に診てもらいましょう」になっています。
耐震に理解と興味を持ってもらった後には、正規の耐震診断を行う必要があります。
そうなるとその先の、②の一般診断法や③の精密診断法を用いての耐震診断を行うことになります。
正規の耐震診断方法
②の一般診断法や③の精密診断法にて耐震診断を行うには、まずは自治体の耐震診断窓口に問い合わせることになります。
参考までに横浜市の場合の問合せ先はこちらになっています。
横浜市内で耐震診断を受けるには「昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認を得て着工されたもの」が対象です。
つまり新耐震基準以前の建物が対象であり、新耐震基準で建てられている住宅は耐震診断の対象外となります。
昭和56年以前のお家にお住まいの方は、迷うことなく耐震診断を受けて頂く方がよいでしょう。
耐震診断の結果、点数(上部構造評点等)が1.0未満となった場合には、その場合も迷うことなく耐震補強を行ってください。
悩ましい1981年以降の住宅
新耐震基準の施行以降の1981年以降に建ったお家の場合ですが、横浜市の場合だと無償での耐震診断の対象からは外れてしまいますので、悩ましいです。
1981年に施工され新耐震基準を満たしているはずのお家の場合は、実際には耐震診断の評点が1.0に満たないお家がたくさんあります。
その理由は、「4号特例」という審査の省略を勘違いした設計者や住宅会社がしっかりと構造検討を行わないまま建てられている家が多数あるからです。
1981年以降に建てた家でも100%安心ではありませんので、耐震診断を行っておくことをおすすめします。
しかし、1981年以降つまり新耐震基準の家の場合は、自治体での無償の耐震診断を受けられません。(無償で可能な地域もあります)
有償での耐震診断方法
自治体での無償診断をうけられない場合は、有償で設計事務所などに耐震診断を依頼することになります。
一般診断の標準的な費用は、建築当時の設計図の有無や建物の形状または築年数により異なりますが、おおむね10万円〜20万円/棟程度とされています。
過去の図面があってシンプルな家であれば10万円ちょっと、過去の図面がなかったり建物の形状が複雑な場合は20万円位になります。
一般診断は、耐震診断を業務としている設計事務所に依頼することになります。
例えば横浜市内であれば、一般社団法人「横浜市建築士事務所協会」に登録されている設計事務所に依頼することが早道と思います。
こちらの名簿に記載されている設計事務所から選んで依頼することになります。
他の地域の方は「ご住所 耐震診断 設計事務所」などのキーワードで検索してみてください。
能登半島大地震もあって、耐震診断の問い合わせがかなり入っているようで、どこの設計事務所さんもお忙しいご様子ですので、お早めに連絡してみるのがよいと思います。
一般診断の結果、耐震補強が必要となる場合には、精密診断を行って耐震補強を行っていくこととなります。
精密診断の場合の費用については、日本耐震診断協会での耐震診断料金の目安を参考にしていただくと良いでしょう。
木造の住宅の場合は「概ね 60万円~100万円」とあります。
この料金目安は竣工時の図面完了検査を取得している場合の料金で、竣工時の図面が無い場合は、建物を実測して耐震診断に必要な図面を作成する料金が発生するとあります。
精密診断を行う場合には、床下や小屋裏の状況も調査し、雑壁も調査しての診断となるので、上記の費用がかかってしまいます。
大事な家族を守るための家なので、しっかりと調査していただいて、耐震結果に応じて耐震補強工事を行ってください。
自分でもできる耐震診断方法
さて「新耐震基準の施行つまり1981年以降に建ったお家にお住まいで、誰でもできるわが家の耐震診断」で、「専門家に診てもらいましょう」になったという方は心配ですね。
一般診断を依頼するにも10万円~20万円かかってしまいます。
診断の結果、耐震補強が必要となった場合に、さらに精密診断の費用も掛かってしまいます。
そんな方にぴったりの方法があります。
構造計算ソフトを作っていらっしゃる株式会社インテグラルさんが期間限定で「マイホーム耐震診断2024」という計算ソフトを無料配布してくれています。
能登半島地震に関連し、地震防災への啓発の一環として、すまい手が簡単に使える無料の耐震診断方法として提供してくれているのです。
期間は今年の12月31日までなので、忘れる前に診断してみることをおすすめします。
使い方については解説動画がありましたので、参考にしてください。
壁の位置と開口の位置と部屋名を入れるだけでできるので、パソコンで絵を描いたことがある人なら誰でも診断可能でしょう。
実際に私も入力してみました。
昨年、完成した「かんぽハウス」を入力してみました。
その結果がこちらです。
「一応倒壊しない」という結果になり、建築基準法同等であることが分かります。
ちなみに、入力した「かんぽハウス」は許容応力度計算での耐震等級3を確保しています。
「マイホーム耐震診断2024」は、あくまで簡易的な診断ですので、壁の倍率などは考慮に入れずに、一律普通の壁になっているためです。
ちゃんと精密診断で入力すれば、性能は出ていますのでご安心ください。
以上のように「マイホーム耐震診断2024」を用いることで、建築の専門知識を持たない一般の人でも、簡単な操作で自宅の耐震診断を行い、地震による被害状況を予測・確認することができます。
入力してみて「倒壊する可能性がある」「倒壊する可能性が高い」となった場合には、上記のように専門家による精密診断法による耐震診断を行うようにしてください。
本日は「自宅の耐震診断を自分でやってみる」という話でした。
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