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知っておきたい住宅会社の広告宣伝費のはなし

新築住宅の需要減少により、最近ハウスメーカーさんの集客が激化してきています。

日本の人口減少、コロナ禍、円安など、新築住宅の需要の落ち込みが原因です。

各ハウスメーカーさんも工夫を凝らして頑張っておられます。

お客様にとってオトクなイベントやプレゼントもありますが、もちろんそれには理由があるんです。

広告宣伝費にどれくらいの費用がかけられており、それが消費者である自分達にどのように影響があるのか、知っておくことが大事です。

今回は、広告宣伝費について知っておいた方が良いお話をさせていただきます。

ハウスメーカーの集客が激化する背景

日本国内の少子高齢化にともなう人口減少により、新築住宅の一次取得者である30歳代と二次取得者である40代が減少してしまっています。

これまで住宅産業の主たる依頼者であった世代が減少しているので、家を建てる人自体が少なくなっています。

そんなところに、コロナショックに伴うウッドショックや円安ショックによる建材価格の高騰が重なりました。

経済がなかなか上向かない状況の中で住宅建設価格が上がってしまったので、新築住宅の需要が急激に落ち込んでしまったのです。

そんな状況が見て取れるのが、以前発表されたハウスメーカーさんの受注状況です。

新建ハウジング2024年1月23日

各社軒並みの受注減少で、ハウスメーカーさんは相当に集客に苦労されているご様子なのが分かります。

ハウスメーカーでの宣伝施策

現状では、住宅展示場での集客を第一としているハウスメーカーさんは「とにかく展示場まで足をはこんでほしい」と躍起になっているようです。

来場者を増やすために住宅展示場では、仮面ライダーやプリキュアのショーを開催したり、各種教室を開催したりと工夫を凝らしています。

展示場に出展するハウスメーカーさんは、ノベルティグッズや野菜や鉢植えなどを配ったりして頑張っておられます。

抽選会なども開催し、旅行などの豪華賞品を用意したりもしていますね。

そんな中で、最近さらなる集客数アップのために、クオカードなどの「ギフトカード進呈」という販促も行われています。

現ナマ攻撃とも言えますね。

そうなると、各社が真似をしてきます。

他のハウスメーカーよりも数多くの来場者を得るため、○○ホームさんは「20,000 円分のギフトカード進呈」を始めました。

住宅展示場モデルハウスの事前予約率を伸ばすために一生懸命なのが伝わります。

来場特典で10,000円のギフトカード進呈は見たことはありましたが、20,000円とは相当必死な感じです。

それほど来場者が落ち込んでいるものと思われます。

「えっ、モデルハウスに行くだけで2万円ももらえるの?」と思われた方、確かに予約して来場してアンケートに答えればもらえます。

ただし、お住まいの住所と電話番号などの個人情報は提供する必要があります。

ただでお金をくれるってことではないので、当然「○○ホームで家を建てて!」という営業活動を受け続けることになります。

翌日から、営業電話と訪問が続きます。

営業マンからの攻勢がかかりますので、心して挑む必要があることは覚えておきましょう。

マーケティングの観点からみる宣伝の効果

ギフトカードプレゼントは来場者数を増やすことも目的ですが、「返法性の法則(原理)」を狙っていることも忘れないようにしてください。

「返法性の法則」とは心理学の用語で、マーケティング業界の手法の一つとされています。

「返法性の法則」とは、「誰かに何かをもらったり、何かをしてもらったとき『このままでは悪いな。何かお返ししなくては申し訳ない。』という気持ちになる心理のことです。

「2万円ももらったので、話くらいは聞いてみるか」と思わせるのです。

相手は百戦錬磨の敏腕営業マン。

巧みにその気にさせるテクニックを学んできている人です。

最初はその気が無くても、話を聞いているうちに「○○ホームで家を建てた方がよい」と思うようになります。

2万円で釣られて、数千万円を払うことになっているのです。

○○ホームの年間受注棟数は12,000軒程度、仮に来場者の3割から受注したと仮定すると、来場者は年間で40,000組になります。

来場者数は公表されていませんが、これよりももっと多くの人数が来場されているでしょう。

季節変動は無視して、12か月で割るとひと月当たりは3300組。

上記キャンペーンの期間の1か月で、6600万円がギフトカードとしてバラまかれることになります。

おそらく今回のギフトカード目当てで来場される方も増えることを考えると5000組以上は来場されるでしょうね。

となると、ひと月で1億円の費用がかかることに。

仮に3組来場して1組契約という高契約率で契約できたと仮定して計算してみましょう。

○○ホームで家を建てたとするならば、20,000円分のギフトカードをもらっていたとしても、請負契約の工事費の中の6万円分くらいは他の人のギフトカード費用として使われることになります。

上記のような営業活動が激化すればするほど、日本の住宅の歪みがさらにひどくなるような気がします。

ギフトカードだけでなく、プリキュアショーや配られた野菜の費用なども考えるともっともっと費用が必要となります。

住宅会社の宣伝広告費は、売り上げの1〜4%と言われています。

売上が大きい会社はこの割合が小さく、売り上げが小さな会社は割合が大きくなります。

ハウスメーカーは1〜2%、パワービルダーが2〜3%、工務店が3〜4%という感じでしょうか。

○○ホームは2%くらいだと推測します。

3000万円の家を契約した場合に、その金額に含まれる宣伝広告費は、3,000万円×2%=60万円(1棟当たりの広告費)となります。

これが12,000軒あるので、年間の広告費は72億円!

先のギフトカードプレゼントで1億円の支出もそれほど無理はしていないのかもしれません。

小規模な工務店の場合は、3,000万円×4%=120万円(1棟当たりの広告費)。

年間12棟とすると、年にかかる宣伝広告費は1440万円です。

SU〇MOカウンターに年間600万円かけて集客したり、マッチングサイトに登録したり、チラシを撒いたり、イベントしたりする費用となります。

まとめ

住宅会社を探しているときは「どの媒体からその住宅会社を知ったのか」を思い返してみてください。

それがTVCMだったり、ラジオCMだったり、雑誌の広告だったり、なにかの媒体で知った会社もあると思います。

そこには必ず広告費が使われています。

SU〇MOカウンターやマッチングサイトであった場合には、中間業者に契約金額の〇%が取られています。

「知ること」に費用がかけられていることを知っておくことも大事なことだと思います。


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